ざっとメモ。細かい内容はよくわかんない。
#1: The efficient markets hypothesis
EMHでは市場がすべてを織り込むとしていたが、過去のチャートから将来を予測することはできないという意味ならばまだしも、市場がすべてを織り込むとするのには実証研究が否定的であるし、それにバブルなんて起こるはずもない。EMHが否定されている以上、市場は政府よりも優れている点も劣っている点も持っている。混合経済が計画経済とレッセフェールのどちらよりも望ましいということになる。
#2: The case for privatisation
民営化は政府事業の切り売りによって財政を健全化するとともに事業の効率化が実現できるという意味と、政府では実現しえない効率的な資本配分を達成するという意味があった。とはいえ、これは市場が機能しているということが前提である。
株式のリターンのほうが債券のリターンよりも高いという株式プレミアムパズルというのがあって、EMHの通りに株式市場は経済を反映しているので株式リスクではなく経済リスクを反映しているからという理由と、単に債券に流れないようにプレミアムを乗せるためという理由が考えられた。しかし、EMHの崩壊でこれらの理由はパァになった。
#3: The Great Moderation
21世紀初頭の世界的な超安定成長(The Great Moderation)は金融政策ツールの向上だとか自由主義の恩恵だとか色々と理由付けはされていたものの、急に消滅してしまった。
#4: individual retirement accounts
年金運用が溶けまくりである。いわゆる安全資産が実はジャンクということもあったし、財務アドバイザーも役に立たず、株式は長期的投資に向くとかいうのもウソだった。やり方を変える必要があるだろう。会社ごとの確定拠出型年金を連携させてもよいし、国家的な老年年金でもよいだろう。年金改革は必要不可欠である。
#5: Trickle down
富裕層を伸び伸びさせておけば経済全体に恩恵が降ってくるというのがトリクルダウン理論であった。たとえば、PE企業などによる株式売買が資本配分を効率化させるし、クレジットカードの充実で生活を楽しむことができる上に将来所得や株価・不動産価格の上昇期待から一時的な所得変動を乗り越えることができるし、富裕層向けの贅沢品などの産業が発展して雇用が発生するということになる。ところがバブル崩壊で金融サービスの虚構とか家計の破綻とかが現れるようになってしまった。
#6: Central bank independence
中央銀行の独立性によって、均衡財政と中央銀行による金融政策を両立させていたが、危機時において中央銀行の金融政策に財政ファイナンスが必要となる。
#7: New Keynesian macroeconomics(himaginary)
New Keynesianの中心テーマは、Old Keynesianにミクロ的基礎付けがないとするマネタリストや新しい古典派の批判を需要面で応えるという必要性であった。不完全競争の世界を仮定して、価格硬直性から生まれる小さな景気変動がその一例である。New Keynesianは新しい古典派のような自由競争論に対する反駁である。k%ルールや均衡財政ではなく、中央銀行の利子率操作やビルドインスタビライザーな財政政策といった中期的なマクロ政策を正当化する理論的枠組みとなっていった。しかし、どちらにしろ崩れてしまった現在は防御側になる必要もない。
#8: US labor market superiority
初期の研究では「雇用の流動性が高い=失業率が低い」だったが、後々の研究では「雇用保護法=雇用の安定化+失業率引き下げ」などとされていた。米国の失業率が欧州の失業率を上回って、どちらが正しいのやら。
#9: Real Business Cycle Theory(himaginary)
新しい古典はにおいては雇用等の変動を外生的ショックと見なしたが、RBCにおいては雇用等の変動が社会全体の最適反応であると見なした。が、今回の危機において役に立っていない。また、カリブレーションという手法を導入し、これはニューケインジアンにも応用されている。しかし、ニューケインジアンもまた今回の危機では役に立っていない。
2009/08/17
2009/07/12
Jones and Romer (2000)
Jones, Charles I., and PaulM. Romer (2000) "The New Kaldor Facts: Ideas, Institutions, Population, and Human Capital"
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090710/new_kaldor_facts
http://unrepresentativeagent.blogspot.com/2010/01/new-kaldor-facts.html
カルドアの事実
-労働生産性が持続的な速度で成長した
-労働者一人当たりの資本も持続的な速度で成長した
-資本の実質利子率ないし収益率が安定していた
-生産に対する資本の比率も安定していた
-資本と労働の国民所得に占める割合が安定していた
-高成長国の間で「2-5%程度の」目に見える成長率のばらつきがある
新カルドアの事実
-市場規模の拡大
-成長の加速
-現代における成長率のばらつき
-所得ならびに全要素生産性における大きな格差
-労働者一人当たりの人的資本の増加
-実質賃金の長期にわたる安定
2010年1月14日追記。ジャーナルに載った。
Jones, Charles I., and Paul M. Romer. 2010. "The New Kaldor Facts: Ideas, Institutions, Population, and Human Capital." American Economic Journal: Macroeconomics, 2(1): 224–45.
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090710/new_kaldor_facts
http://unrepresentativeagent.blogspot.com/2010/01/new-kaldor-facts.html
カルドアの事実
-労働生産性が持続的な速度で成長した
-労働者一人当たりの資本も持続的な速度で成長した
-資本の実質利子率ないし収益率が安定していた
-生産に対する資本の比率も安定していた
-資本と労働の国民所得に占める割合が安定していた
-高成長国の間で「2-5%程度の」目に見える成長率のばらつきがある
新カルドアの事実
-市場規模の拡大
-成長の加速
-現代における成長率のばらつき
-所得ならびに全要素生産性における大きな格差
-労働者一人当たりの人的資本の増加
-実質賃金の長期にわたる安定
2010年1月14日追記。ジャーナルに載った。
Jones, Charles I., and Paul M. Romer. 2010. "The New Kaldor Facts: Ideas, Institutions, Population, and Human Capital." American Economic Journal: Macroeconomics, 2(1): 224–45.
2009/06/11
Lucas (2004)
(参考)Microfoundationsをめぐるhimaginary日記
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090608/levitt_and_yglesias_on_macro
計量経済学に使えるマクロ経済のデータは少ないので現実を的確に描写するモデルよりも、ミクロ的基礎付けからゴリ押しした数式モデルが評価される、と否定的な論争。
それはまた別の話。
Lucas, Robert E., Jr. (2004) "Keynote Address to the 2003 HOPE Conference: My Keynesian Education"
http://homepage.ntu.edu.tw/~yitingli/file/Workshop/lucas%20.pdf
(...)Now it’s coming in use in macroeconomics with real business cycle theory; certain kinds of monetary variations have been introduced with success. (...) But I don’t teach any IS-LM. I don’t even mention it. (...) In that sense, for me, it’s over.
But I want to come to this persistence of the IS-LM model, because it isn’t over.
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090608/levitt_and_yglesias_on_macro
計量経済学に使えるマクロ経済のデータは少ないので現実を的確に描写するモデルよりも、ミクロ的基礎付けからゴリ押しした数式モデルが評価される、と否定的な論争。
それはまた別の話。
Lucas, Robert E., Jr. (2004) "Keynote Address to the 2003 HOPE Conference: My Keynesian Education"
http://homepage.ntu.edu.tw/~yitingli/file/Workshop/lucas%20.pdf
(...)Now it’s coming in use in macroeconomics with real business cycle theory; certain kinds of monetary variations have been introduced with success. (...) But I don’t teach any IS-LM. I don’t even mention it. (...) In that sense, for me, it’s over.
But I want to come to this persistence of the IS-LM model, because it isn’t over.
2009/05/02
IMF (2008)
Antonio Spilimbergo, Steve Symansky, Olivier Blanchard, and Carlo Cottarelli (2008) "Fiscal Policy for the Crisis." http://www.imf.org/external/pubs/ft/spn/2008/spn0801.pdf
himaginaryまとめ
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090105
経済危機に対して
-速やかに巨額の対策をすべき。
-持続的にあらゆる手段を使うべき。
-政策のコミットメントの明確化で将来への期待を改善すべき。
-各国が協力すべき。
具体的には、全般的な減税や補助金よりは、支出拡大やターゲットを絞った減税・移転支出が効果的である。全面的減税は非効率である。
支出拡大として
-既存の公共事業の前倒し
-維持修繕の拡大
-既に計画中の新事業の実施
があり、短期的には需要に好影響を与え、長期的には供給に好影響を与える。
貧困層にターゲットを絞った減税・移転支出として
-失業給付の対象の拡大
-失業給付の期間の拡大
-移転支出で助ける低所得世帯の対象の拡大
-低所得世帯向けの支出額の拡大
などがあり、即効性のあるセーフティネットとなる。低所得者層は消費性向も高い。ただし、労働に復帰するインセンティブを与えなければならない。
いま日本の補正予算は、お金の使い道に苦心しているらしい。聞くところによると、当局から各省庁に総額が割り振られ、各省庁がそこに使い道を後から決める。計画の前倒しよりは、頑張って思いつきを出しているとかいう中の人の話であった。
himaginaryまとめ
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090105
経済危機に対して
-速やかに巨額の対策をすべき。
-持続的にあらゆる手段を使うべき。
-政策のコミットメントの明確化で将来への期待を改善すべき。
-各国が協力すべき。
具体的には、全般的な減税や補助金よりは、支出拡大やターゲットを絞った減税・移転支出が効果的である。全面的減税は非効率である。
支出拡大として
-既存の公共事業の前倒し
-維持修繕の拡大
-既に計画中の新事業の実施
があり、短期的には需要に好影響を与え、長期的には供給に好影響を与える。
貧困層にターゲットを絞った減税・移転支出として
-失業給付の対象の拡大
-失業給付の期間の拡大
-移転支出で助ける低所得世帯の対象の拡大
-低所得世帯向けの支出額の拡大
などがあり、即効性のあるセーフティネットとなる。低所得者層は消費性向も高い。ただし、労働に復帰するインセンティブを与えなければならない。
いま日本の補正予算は、お金の使い道に苦心しているらしい。聞くところによると、当局から各省庁に総額が割り振られ、各省庁がそこに使い道を後から決める。計画の前倒しよりは、頑張って思いつきを出しているとかいう中の人の話であった。
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