2010/12/27

Bernard and Jensen (1998, JIE)

Bernard and Jensen (1998, JIE) "Exceptional Exporter Performance: Cause, Effect, or Both?"

輸出企業のほうが国内企業よりも高生産性である。それでは輸出が高生産性を導くのか、高生産性が輸出を導くのか。高生産性企業が輸出企業となる:輸出企業の成長率も成功水準もex-anteで高かった。企業が輸出することによるメリットはあまり明確ではない。しかしながら、とくに長期時系列(longer horizons)については、生産性成長および賃金成長が上回っているというわけではなかった。

Clerides, Lach and Tybout (1998, QJE)

Clerides, Lach and Tybout (1998, QJE) "Is Learning by Exporting Important?"

輸出によって企業の生産性が上がるのか。輸出企業は国内企業に正の外部性を与えるのか。企業レベルデータを用いることによって、輸出と生産性の因果関係を分析する。外国市場に進出した後の企業のコストプロセスの変化を見た。高生産性の企業は輸出する一方、輸出によるコスト改善は見られなかった。ゆえに輸出企業と生産性の正の相関関係は、高生産性企業が輸出するというセルフ・セレクションによって説明される。正の外部性についても分析した。

Bernard, Eaton, Jensen and Kortum (2003, AER)

"Plants and Productivity in International Trade," American Economic Review, American Economic Association, vol. 93(4), pages 1268-1290, September.

企業レベルに既存の貿易論を拡張。理由1:firms heterogeneityの存在のため。理由2:輸出企業と純粋国内企業の併存のため。理由3:不完全競争。この論文では米国企業の特徴として(1)生産性のばらつき(2)輸出企業の高生産性(3)輸出企業の企業数の少なさ(4)輸出企業の中でも輸出量が少ないこと(5)輸出企業の規模が比較的大きいことを見出した。略。

2010/12/26

Belderbos and Carree (2002, JJIE)

Belderbos, Rene & Carree, Martin, 2002. "The Location of Japanese Investments in China: Agglomeration Effects, Keiretsu, and Firm Heterogeneity," Journal of the Japanese and International Economies, Elsevier, vol. 16(2), pages 194-211, June.

中国に進出する日本企業(1990-1995年)がどの地域を選択するかというロジットモデル。その地域における産業集積、日本企業集積、系列企業集積などの特色を見る。指標は地域内企業数の自然対数。企業サイズと輸出性向を企業側の特色として見る。中小企業において日本からの距離や日本企業集積に地域選択が影響される一方、投資誘致の影響は弱かった。輸出指向企業は現地市場指向企業と比べて、系列企業集積や港の存在に影響されやすい一方、地域需要には影響されにくかった。

Head and Ries (2003, JJIE)

Head and Ries (2003, JJIE) "Heterogeneity and the FDI versus Export Decision of Japanese Manufacturing."

生産性の違いが国内企業・輸出企業・海外生産企業の区別を説明できるか。モデルから予想すれば、等コストの国で海外生産する企業は輸出企業よりも生産性が高い。そして低コストの国で生産するならば、この予想と逆になる。日本企業のデータによれば、海外生産も輸出もしている企業は国内からのみ輸出している企業よりも生産性が高い。海外投資している企業の中では、高生産性の企業ほど色々な所得水準の国に投資していた。

Head and Ries (2005, JJIE)

Head, Keith & Ries, John, 2005. "Judging Japan's FDI: The verdict from a dartboard model," Journal of the Japanese and International Economies, Elsevier, vol. 19(2), pages 215-232, June.

日本のFDIを企業統制の結果として見る。データから計算される実際値とモデル上の理論値を比べる。日本のoutward FDIはinward FDIよりも活発。しかし、outward FDIもinward FDIも理論的水準を下回っている。GDPとかlocationを考えるともっとFDIが活発なはず。このように日本のFDIパフォーマンスの水準を評価するに際して、理論的なベンチマークを採用したことが売りとなっている。

スクラム 駆け引きと勝負の謎を解く

一見なんでもないスクラムの中では駆け引きが行なわれる。

バインド
1番は相手3番とのバインドを深くとることで突っ張れる
2番は手首を返して両PRを引き寄せる
2番3番のバインドについては、バインドした手が上側の選手のほうが前に出られる。どこをバインドで持ちたいか
8人で固まる

エンゲージ
「エンゲージ」の「エ」かその直前→アーリープッシュ
「相手の眉間の右」を狙う
小さければ下から上に突き上げ、大きければ上から下に覆い被さる

姿勢
「ひざの開きの角度が120~130度のとき最大の力を発揮する」
「背中が水平になるように胸を出して姿勢を作る。そこで、ひざを地面に対してゆっくりとおろし、腰が低い姿勢になったところで一気に全員でプッシュする」
「ひざを柔らかく使って、首とひざで『U』の字を描けるようにする」
「巨漢フロントローに対しては、肩と耳をつけて、浅い位置で組む。そして相手の後頭部にくっと乗る」
「ひざの動きで首を取る。首を取るためには、ひざから絞る」
「スクラムを組んだらボールを見る」「首をかしげる」
「背骨がタッチラインと平行」
「スパイクのポイントが多く芝生にかかるほど安定する」「足首を柔らかくする」
「組んだあと、ひざを5センチ下げるだけで、力の伝わり方が全然違う」
「自分が深く入り、相手には浅くしかもぐらせない」「肩の関節と絞り方と胸板で相手を殺す」

フッキングコースの攻防
押し負け…ダイレクトフッキング(できるだけ短く)
推奨…左足
コース…1の下、2の下→46間、45間、4の下
1番…味方ボールイン時にフッカーが足をかくスペースを確保
2番…相手ボールのとき頭や足で相手フッカーの足を邪魔(藤田剛)
3番…相手ボールのとき相手1番を潰す

ペナライズの基準を理解、利用
自分は落ちていないように見せ、相手を落ちているように見せる。
コラプシングは主に守備側にペナルティが多いが、おおむね姿勢で判断される。
わざと落として相手ペナルティにさせることも。
アーリープッシュ
押しのアングルの調整。1番の内押しなど

エトセトラ
体重が重いほうがいい
ささやき戦術で主導権を握る

2010/12/06

Echenique, Golovin and Weirman (2010)

http://d.hatena.ne.jp/tazuma/20101203
"A Revealed Preferenced Approach to Computational Complexity in Economics," Echenique, Golovin and Weirman 2010.

一部の計算機科学者に言わせると経済学の市場の理論は使えないということらしい。なぜかというと、そもそも消費者の効用最大化問題さえNP困難ということ。コンピュータにも大変な計算が何で人間に出来るだろうかというわけだ。

しかし経済学者からすると、そのような見方はモデルを文字通りに解釈しすぎているように感じる。計算機科学者がNP困難というとき、それはもちろん最悪のケースを考えているわけだが、実際に消費者が解いている問題は結構簡単な問題かもしれないではないか。