2009/02/26

Fowler and Christakis (2008)

Fowler, James H and Nicholas A Christakis (2008) "Dynamic spread of happiness in a large social network: longitudinal analysis over 20 years in the Framingham Heart Study," BMJ.

1983年から2003年における被験者4739人のデータを用いて、「幸福」が他人の幸福に左右されるか分析している。幸福を計量するにあたって、「未来に希望を抱いた」「幸せだった」「楽しい生活だった」「他の人と同じぐらいと感じた」という4つのitemを使い、1週間の間にこれらの感情を抱いた頻度を調査した。その結果、人の幸福は伝播することが明らかになった。1.6km以内の近所に住む友人(25%)や兄弟(13%)そして隣人(34%)に影響を与えているが、仕事の同僚には影響がないようである。時間や地理的な距離とともに効果は減衰していた。人々の幸福は、人間関係を持つ他人の幸福に依存している。

関連
伝染する幸せ
AFP通信

Diamond (1965)

Diamond, Peter A. (1965) "National Debt in Neoclassical Growth Model," American Economic Review, Vol. 60, pp. 1126-1150.

小文字は大文字のper capitaを示す。

世代重複モデル

生産部門



消費部門

予算制約式


効用最大化(オイラー方程式)

動学的効率性
f'(k)>n
公債論への含意

経営学のフロンティア

イノベーションの民主化
一橋大学教授・守島基博

グローバル知識経営の探求
慶応義塾大学教授・浅川和宏

組織の〈重さ〉を考える
一橋大学准教授・加藤俊彦

『再成長戦略』構築の条件
学習院大学教授・淺羽茂

『ものづくり経営学』の本質
東京大学教授・藤本隆宏

変革期の『ビジネス・システム』
神戸大学教授・加護野忠男

技術経営の神髄と価値創造
一橋大学教授・延岡健太郎

企業間分業の戦略的マネジメント
京都大学教授・武石彰

『非差異化』時代のマーケティング
早稲田大学教授・恩蔵直人

IT時代の組織と情報戦略
慶応義塾大学教授・国領二郎

消費者心理とブランド戦略
一橋大学准教授・阿久津聡

経営戦略論の系譜と本質
一橋大学教授・沼上幹

2009/02/25

倒産危険度

週刊ダイヤモンド』ダイヤモンド社。

ヒト
  • 社長に経営者としての能力、資質があるか
  • 社長のほかに実権者はいないか
  • 社長のプライベートに問題はないか
  • 社長の健康状態は大丈夫か
  • 社長に肩書きが多く、本業がおろそかになっていないか
  • 後継者は育っているか
  • 社長を支えるブレーンはいるか
  • 幹部社員の退職が相次いでいないか
  • 社内で不祥事が起きていないか
  • 社員の対応、情報開示に問題はないか
  • コンプライアンスは徹底しているか
  • 取引先変更の裏にトラブルはないか


  • モノ
  • 過剰在庫になっていないか
  • 納期を守れているか
  • 類似商品への依存が高くはないか
  • 取引量が急増、急減していないか
  • 返品、クレームの発生が多くないか
  • 主力納入先が変化していないか
  • 取引先の取引先に倒産はないか
  • 仲間取引が急増していないか
  • 資材の調達はスムーズか
  • 扱う商品が増えていないか
  • 価格競争に陥っていないか


  • カネ
  • 収益の現状、動向は順調か
  • 設備投資は分相応であるか
  • 流動負債を流動資産で返済できるか
  • 自己資本比率と固定比率は健全化
  • 売掛金が急増していないか
  • 受取手形が固定化していないか
  • 勘定科目の変動に問題はないか
  • 資金繰りに問題はないか
  • 粉飾決算をしていないか
  • 支払い条件の変更要請がないか
  • 取引銀行が債権を売却していないか
  • メインバンクの変更はないか
  • 多行取引になっていないか
  • 第三者割当増資、転換社債発行の背景に問題はないか
  • 取引先やグループ会社が倒産していないか
  • 税金や社会保険料を滞納していないか
  • 債権が譲渡登記されていないか


  • 不動産・手形
  • 使用している不動産はどうなっているのか
  • 現在の所有者は誰になっているのか
  • 「信託」が登記されていないか
  • 差し押さえ登記はされていないか
  • 抵当権を設定しているのは誰か
  • 登記簿と現地に整合性はあるか
  • 支柱金融へ手形が流失していないか
  • 振出人、裏書人の信用に問題はないか
  • 支払手形は増加していないか
  • 不透明な手形の振り出し(融通手形)はないか
  • 2009/02/23

    数学ガール

    結城浩「数学ガール」ソフトバンククリエイティブ。
    大学生協書籍部に山積みされていたものの、買うのは気が引けたので図書館で予約して借りてみた。読んでみると、高校生の主人公が同級生のミルカさん、後輩のテトラちゃんに囲まれて、数学を勉強する話だった。

    高校数学の延長線なので目新しい話はないのではあるが、「数列の母関数」という概念は初見であった。要するに、数列をxの累乗の係数と見立てて、無限べき級数の関数に変換するのである。たとえば、漸化式があるならば、係数間の関係式を利用して、母関数の係数を逆算することができる。数列の一般項を求めることができるということである。

    21世紀に入ってから、ゆるキャラや秋田米等々、顕著に萌え化が流行しはじめ、おそらく一過性の流行ではなく、今後発展していくことであろう。こうした学問的分野においても萌え化することによって敷居を低くし、大衆を啓蒙できるならば、それは至極望ましいことである。

    結城浩「数学ガール/フェルマーの最終定理」ソフトバンククリエイティブ。
    パラパラとしか読んでいないが、フェルマーの最終定理の証明は、いくつかの「定理」をブラックボックスにして、その定理の適用を考えるという仕組みであった。「萌え」を売りにして数学を教えるということは、麻生太郎の説く日本人のオタク気質(craftmanship)に合致するのかもしれない。高校数学のときは網の目のように関連させることで数学を学んでいったが、この本の教え方はそういった形式である。大学数学は網の目がきわめて細かく全体像における「今の学習」の位置づけがつかみにくい。数学嫌いは全体像が見えないところからはじまるのではないか。その全体像を「萌え」という「釣り」によって一度見通させることを試みることによって、全体像を見つめることが学習の大きな一歩となる。

    身近な例でたとえれば、街を散歩する際にいきなり小道を使うと覚えられない。まずは大通りを使ってグルリとする。大通りがわかってきたら、小道に入ってみれば新たな発見がある。あるいは地図を使って全体図を把握する。年をとると学習効率が落ちるが、結果を急ぐ余り小道に入って出られなくなるからだ。子供はとりあえずグルグル回ってみる。そして、道の使い方に慣れてくるのだ。

    法律を学ぶときには入門書から始めると言うが、コンメンタールから始めるのはおそらくつらいことであろう。世界史を学ぶときにはカタカナに悩まされるが、むしろ全体の流れを覚えたほうが楽であろう。数学も全体の流れがある。

    群、環、体の定義が初見であった。群とは、決められた演算に関して結合法則が成立し、その単位元と逆元が存在する集合である。環とは和の交換法則が成立し、積の結合法則が成立し、分配法則が成立する集合である。体とは、環のなかでも、単位元が存在し、ゼロ以外の元について積の逆元が存在する集合である。図書館に本を返してしまったので確認できないが、こういう定義であったとして間違いないだろう。

    2009/02/19

    玄田(2008)

    玄田有史(2008)「前職が非正社員だった離職者の正社員への移行について」『日本労働研究雑誌』2008年11月号。
    『就業構造基本調査』を用いて、前職が非正規社員だった離職者について、正社員への移行を規定する要因をプロビット分析した。その結果、
    1)家事等とのバランスや年齢を理由とした労働供給上の制約が、正社員への移行を抑制している。
    2)失業率の低い地域ほど移行が容易となる他、医療・福祉分野、高学歴者等、専門性に基づく個別の労働需要の強さが、正社員への移行を左右する。
    3)非正規雇用としての離職前2年から5年程度の同一企業における継続就業経験は、正社員への移行を有利にする。

    2009/02/18

    青木(2008)

    青木昌彦(2008)『比較制度分析序説―経済システムの進化と多元性』講談社。

    ワルラス均衡が完全競争あるいは計画経済によって達成できることに疑問を呈し、複数均衡を導くようなモデルを比較制度分析として展開する。個人の限定合理性進化ゲーム理論を応用することでパレート最適なP均衡でない、アメリカ型のA均衡と日本型のJ均衡が進化的均衡となりえる。とくに情報処理能力の限界を考慮すれば、組織のコーディネーション形態として5つの基本型が挙げられる。
    -古典的ヒエラルキー
    マネジメントが各事業単位の活動水準を決定
    -情報同化型
    すべて事業単位が共同して活動水準を決定
    -水平的ヒエラルキー分権的ヒエラルキー情報異化型
    マネジメントはルールのみ設定し、各事業単位が各々の活動水準を決定。ただし、これら3つは情報に違いがある。組織を事業単位に分割したときに、それぞれの事業単位にのみ影響する個別環境パラメータとすべての事業単位に影響するシステム環境パラメータがある。測定能力は誤差の分散値で表現できる。このとき以下のような仮定をつける。
    1)マネジメントはシステム環境パラメータと個別環境パラメータの事前情報は有するが、正確な実現値を事後的に測定できない。
    2)各事業単位はシステム環境パラメータと自身の個別環境パラメータの双方を測定すると誤差が大きくなる。
    3)各事業単位の情報は他の事業単位に伝播しない。
    このとき、水平的ヒエラルキーは情報同化型に近く、システム環境パラメータは共同で測定される。分権的ヒエラルキーではマネジメントのみが測定する。情報異化型ではマネジメントと各事業単位の両方がシステム環境パラメータを各々が独立して測定する。以上がヨコの組み合わせであったが、タテの関係においてもヒエラルキー的分化情報同化カプセル化などの区別が可能である。

    情報処理能力の限界に加えて最大化計算能力の限界を仮定すれば、個々人は既存の組織形態などを参考に、技能習得の方向性を定める。その経済における支配的な組織形態によって支配的戦略が異なり、機能的技能が支配的戦略のときアメリカ型の均衡、可塑的・文脈的技能が支配的戦略のとき日本型の均衡となる。こうした均衡には、戦略の頑健性である戦略的補完性に加えて、諸制度の環境変化に対する頑健性である制度的補完性という特徴がみられる。そうした制度的補完性としてコーポレート・ガバナンスが挙げられる。アメリカは株主が経営者に対する権限を持つことで経営のコントロールをしているが、日本ではサラリーマン社長に一任され、財務状態が悪化したときのみメインバンクに経営権がうつる。こうした日本のコーポレート・ガバナンスを状態依存的ガバナンスと呼び、株主持合いやメインバンク制に関連する。アメリカにおいてもポイズンピル条項、株主支配を部分否定するような会社法改正、機関投資家の保有比率増大を背景に非ワルラス的になりつつある。そもそもコーポレート・ガバナンスは投資家とビジネス・プロジェクトを繋ぐものであり、以下のような課題がある。
    1)投資家が経営者ほど情報を有しない逆選択の問題
    2)プロジェクトの収益率自身が他の企業に依存するコーディネーション問題
    3)きちんとプロジェクトに投資されるかわからないモラル・ハザードの問題
    これらの課題を識別し、これらによるソフト・バジェッティング(財務規律の緩み)を回避するべく、経営者を確実に処罰するというコミットメントの問題を解決しなければならない。この上で、メインバンク制は以下のような社会的便益が示唆される。
    1)事前・中間・事後のモニタリングを統合することで、メインバンクが企業組織に即した外的規律をルール化する。
    2)モニタリングをメインバンクに一任することでモニタリング・コストを削減できる。
    3)メインバンクの救済活動で企業の一時的な流動性制約を回避して破綻を防ぐ。
    4)プロジェクト間のコーディネーションが可能となる。
    ただし、事前的モニタリングとは企業提案の投資計画を評価し、なおかつ他企業の投資計画とのコーディネーションの失敗を防止する。中間的モニタリングとは資金提供後も企業行動をチェックし続けてモラル・ハザードを防止する。事後的モニタリングとは投資行動の結果における財務状態から企業の長期存続性を判断し、匡正(きょうせい)的または懲罰的行動をとる。このようなメインバンク制は銀行局や日銀によって後押しされ、インセンティブとなるレント(不労所得)が銀行に与えられていた。
    1)インフレ率を抑制し、預金金利の実質率を正に保ちつつ低く抑える。
    2)社債発行を特権企業に限定する。
    3)銀行産業や都銀業界への参入を制限する。
    4)支店開設許可権や経営権を掌握し、裁量的な信賞必罰制度を運用する。
    Murdock-Hellmann-Stiglitzは、実質預金率が負のときを金融抑圧と一般に呼んでいるのと区別して、実質預金率が正であるものの低く抑えられているときを金融抑制と呼んだ。金融抑制は、貯蓄の金利弾力性が高くなければレントを銀行に発生させる。銀行経営がモニターされていれば、レントが支店増設などによる預金形成の増大に使われる。こうしたレントの価値をフランチャイジング・バリューと呼ぶ。一方、貸出金利が均衡よりも低く抑えられているならば、金融抑制によるレントは非金融部門にもスピル・オーバーする。こうした貸出金利が成長可能性や市場シェアを指標にして決められるとき、企業にはシェア拡大という生産的なレント・シーキング活動を行ないうる。
    1)高度成長初期に重要な役割を果たした産業において、投資に有用な基本的な技術的知識や商業化は、すでに外国で発展していた。また重要な補完的投資のコーディネーションは、産業審議会などの公的分野を通じてなされた。したがって、民間銀行部門による事前的モニタリングの焦点は、既存のノウハウを吸収し、改善する企業の経営的・組織的能力の評価にあった。この点で、メインバンクによる事前的モニタリングと中間的モニタリングの統合は利点があった。なぜならば、継続的な中間的モニタリングは、都市銀行に信託銀行や証券会社などには得られない、組織に特有な情報をもたらしえたからである。
    2)日本の私企業の比較的長い伝統にもかかわらず、戦間・戦期の国際市場からの隔離と政府統制は、市場志向的な金融制度の運営に必要な、専門化した金融モニタリングの資源の蓄積を程度にとどめていた。したがって、金融モニタリングを、投資銀行、商業銀行、信用格付け機関、投資基金、再組織専門機関などの間に分散化するより、銀行部門に統合的に委任することが実際的であった。
    3)終戦直後、政府による戦時補償の打切りにより、企業の資本基盤は脆弱なものとなっていた。企業の剰余創出能力もかぎられていて、株式発行は投資資金調達の有効な手段とはなりえなかった。こうした企業の弱い財務能力のもとでは、ある程度低い収益性のもとで、企業救済にコミットしうるような銀行の存在が最適なコーポレート・ガバナンスの構造を提供する。戦後の日本銀行による手形再割引を通ずる銀行への資金供給は、こうしたコーポレート・ガバナンスの構造を銀行の経営基盤を揺るがすことなく生成することに貢献したと言えるだろう。

    こうした均衡の形成を通じて比較優位が決定されることを説明できる。Helpman-Krugmanの新しい貿易論では、製品差別化や比較逓増より先のことは射程の外であった。収穫逓増の可能性は組織形態の均衡が決定し、歴史的経路と社会の制度体系に依存する。大国Aと小国Jがあって、それぞれIT業界と自動車業界が強かったとする。経済統合すると小国側の文脈的技能は進化論的に消滅してしまう。貿易を自由化しつつ外資流入を規制することで幼稚産業保護をすると、絶対劣位にあるA国の自動車業界が存続可能なレベルまで、J国においては自動車業界に人材が流入し組織革新する。このようにして、日本は銀行業や非金融の産業
    への参入を規制することで、各産業における特有の技能という人的資本価値の保護を確約し、人々に文脈的技能形成を動機づけるという側面があった。あらゆる職業分野に関して、従事する人々→所属組織→業界団体→管轄官庁という構造による仕切られた多元主義が、輸出産業が国際市場から獲得した疑似レント(quasi-rent)を国民全体的に分配することを可能としていたのである。
    しかし、技術流出や新興国の台頭によって疑似レントの獲得可能性が低下すると再分配が難しくなる。そして仕切られた多元主義の高まりつつある運用コストを将来世代へと負担移転し、累積する財政赤字によって金融産業や公共事業部門などの低生産・不利益部門を保護するに至る。だからといって、J均衡からA均衡を経てからP均衡に向かう必要はなく、J均衡からP均衡を直接目指したほうが負担がかからない。たとえば、米国の経済成長を支えたモジュール化も、概念をそのまま輸入するのではなく、日本流に解釈してカプセル化などを実践すべきである。だからこそ開かれた多元主義を唱え、純粋持株会社の解禁はその処方箋のひとつである。

    消費の経済指標

    石崎寛憲(2005)「個人消費関連指標のみかた」を参考にしつつ、マクロ経済学者と実務家の乖離を見つめる。実務家は経済学的裏付けがなくても使える指標はすべて使う。

    GDP統計一次速報(2009年2月16日発表。四半期の集計が1か月半に発表。)
    http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html

    家計調査(月次または四半期。サンプルによるブレが大きい。)
    http://www.stat.go.jp/data/kakei/index.htm

    商業販売統計(月次。2008年12月データは速報1月29日、確報2月18日発表。)
    http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/index.html
    東京地区百貨店売上高(12月分が2009年1月19日発表っぽい。)
    http://www.depart.or.jp/common_department_store_sale/list
    チェーンストア販売統計
    http://www.jcsa.gr.jp/figures/index.html
    コンビニエンスストア売上高
    http://jfa.jfa-fc.or.jp/tokei.html

    新車販売台数(登録車)
    http://www.jada.or.jp/contents/data/type/index12.php
    軽自動車新車販売速報
    http://www.zenkeijikyo.or.jp/statistics/
    家電製品の販売動向(商業販売統計の機械器具小売業の販売額。サンプル調査につきブレあり。)
    http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/syoudou/index.html
     経済のサービス化という言葉をよく耳にするように、経済が発展し成熟するにつれてサービス関連支出が増加してきており、現在では消費支出全体の55%程度を占めるに至っています。しかし、サービス支出の動向を把握し得る統計は、徐々に整備されてきてはいますが、まだまだ不完全なのが実情です。
    旅行取扱状況
    http://www.jata-net.or.jp/tokei/001/1.htm
    出国日本人数
    http://www.jnto.go.jp/jpn/tourism_data/data_info_listing.html
    外食産業市場動向調査
    http://www.jfnet.or.jp/data.htm
    外食産業月次売上動向調査(会員のみ)
    http://www.gaishokusoken.jp/pages/index.cfm/statistical
    特定サービス産業動態統計調査
    http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/index.html
    第3次産業活動指数
    http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sanzi/index.html

    販売統計合成指数
    http://www.boj.or.jp/theme/research/stat/etc/index.htm#hhan

    消費者態度指数
    http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/shouhi/shouhi.html
    日経消費予測指数(CFI)
    http://www.nikkei.co.jp/rim/cfi/cfi.htm
    消費者心理調査
    http://www.research-soken.or.jp/reports/csi/index.html
    生活意識に関するアンケート調査(四半期)
    http://www.boj.or.jp/theme/research/survey/index.htm
    家計の金融資産に関する世論調査
    http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/index.html

    Murakami (2009)

    Murakami Haruki (2009) "Always on the Side of the Egg," HAARETZ, Feb. 17.

    I have come to Jerusalem today as a novelist, which is to say as a professional spinner of lies.

    Of course, novelists are not the only ones who tell lies. Politicians do it, too, as we all know. Diplomats and military men tell their own kinds of lies on occasion, as do used car salesmen, butchers and builders. The lies of novelists differ from others, however, in that no one criticizes the novelist as immoral for telling them. Indeed, the bigger and better his lies and the more ingeniously he creates them, the more he is likely to be praised by the public and the critics. Why should that be?

    My answer would be this: Namely, that by telling skillful lies - which is to say, by making up fictions that appear to be true - the novelist can bring a truth out to a new location and shine a new light on it. In most cases, it is virtually impossible to grasp a truth in its original form and depict it accurately. This is why we try to grab its tail by luring the truth from its hiding place, transferring it to a fictional location, and replacing it with a fictional form. In order to accomplish this, however, we first have to clarify where the truth lies within us. This is an important qualification for making up good lies.

    Today, however, I have no intention of lying. I will try to be as honest as I can. There are a few days in the year when I do not engage in telling lies, and today happens to be one of them.

    So let me tell you the truth. A fair number of people advised me not to come here to accept the Jerusalem Prize. Some even warned me they would instigate a boycott of my books if I came.

    The reason for this, of course, was the fierce battle that was raging in Gaza. The UN reported that more than a thousand people had lost their lives in the blockaded Gaza City, many of them unarmed citizens - children and old people.

    Any number of times after receiving notice of the award, I asked myself whether traveling to Israel at a time like this and accepting a literary prize was the proper thing to do, whether this would create the impression that I supported one side in the conflict, that I endorsed the policies of a nation that chose to unleash its overwhelming military power. This is an impression, of course, that I would not wish to give. I do not approve of any war, and I do not support any nation. Neither, of course, do I wish to see my books subjected to a boycott.

    Finally, however, after careful consideration, I made up my mind to come here. One reason for my decision was that all too many people advised me not to do it. Perhaps, like many other novelists, I tend to do the exact opposite of what I am told. If people are telling me - and especially if they are warning me - "don't go there," "don't do that," I tend to want to "go there" and "do that." It's in my nature, you might say, as a novelist. Novelists are a special breed. They cannot genuinely trust anything they have not seen with their own eyes or touched with their own hands.

    And that is why I am here. I chose to come here rather than stay away. I chose to see for myself rather than not to see. I chose to speak to you rather than to say nothing.

    This is not to say that I am here to deliver a political message. To make judgments about right and wrong is one of the novelist's most important duties, of course.

    It is left to each writer, however, to decide upon the form in which he or she will convey those judgments to others. I myself prefer to transform them into stories - stories that tend toward the surreal. Which is why I do not intend to stand before you today delivering a direct political message.

    Please do, however, allow me to deliver one very personal message. It is something that I always keep in mind while I am writing fiction. I have never gone so far as to write it on a piece of paper and paste it to the wall: Rather, it is carved into the wall of my mind, and it goes something like this:

    "Between a high, solid wall and an egg that breaks against it, I will always stand on the side of the egg."

    Yes, no matter how right the wall may be and how wrong the egg, I will stand with the egg. Someone else will have to decide what is right and what is wrong; perhaps time or history will decide. If there were a novelist who, for whatever reason, wrote works standing with the wall, of what value would such works be?

    What is the meaning of this metaphor? In some cases, it is all too simple and clear. Bombers and tanks and rockets and white phosphorus shells are that high, solid wall. The eggs are the unarmed civilians who are crushed and burned and shot by them. This is one meaning of the metaphor.

    This is not all, though. It carries a deeper meaning. Think of it this way. Each of us is, more or less, an egg. Each of us is a unique, irreplaceable soul enclosed in a fragile shell. This is true of me, and it is true of each of you. And each of us, to a greater or lesser degree, is confronting a high, solid wall. The wall has a name: It is The System. The System is supposed to protect us, but sometimes it takes on a life of its own, and then it begins to kill us and cause us to kill others - coldly, efficiently, systematically.

    I have only one reason to write novels, and that is to bring the dignity of the individual soul to the surface and shine a light upon it. The purpose of a story is to sound an alarm, to keep a light trained on The System in order to prevent it from tangling our souls in its web and demeaning them. I fully believe it is the novelist's job to keep trying to clarify the uniqueness of each individual soul by writing stories - stories of life and death, stories of love, stories that make people cry and quake with fear and shake with laughter. This is why we go on, day after day, concocting fictions with utter seriousness.

    My father died last year at the age of 90. He was a retired teacher and a part-time Buddhist priest. When he was in graduate school, he was drafted into the army and sent to fight in China. As a child born after the war, I used to see him every morning before breakfast offering up long, deeply-felt prayers at the Buddhist altar in our house. One time I asked him why he did this, and he told me he was praying for the people who had died in the war.

    He was praying for all the people who died, he said, both ally and enemy alike. Staring at his back as he knelt at the altar, I seemed to feel the shadow of death hovering around him.

    My father died, and with him he took his memories, memories that I can never know. But the presence of death that lurked about him remains in my own memory. It is one of the few things I carry on from him, and one of the most important.

    I have only one thing I hope to convey to you today. We are all human beings, individuals transcending nationality and race and religion, fragile eggs faced with a solid wall called The System. To all appearances, we have no hope of winning. The wall is too high, too strong - and too cold. If we have any hope of victory at all, it will have to come from our believing in the utter uniqueness and irreplaceability of our own and others' souls and from the warmth we gain by joining souls together.

    Take a moment to think about this. Each of us possesses a tangible, living soul. The System has no such thing. We must not allow The System to exploit us. We must not allow The System to take on a life of its own. The System did not make us: We made The System.

    That is all I have to say to you.

    I am grateful to have been awarded the Jerusalem Prize. I am grateful that my books are being read by people in many parts of the world. And I am glad to have had the opportunity to speak to you here today.
    村上春樹、エルサレム賞受賞スピーチ試訳
    http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2009/02/post-1345.html
    村上春樹スピーチ全文和訳Ver.1.2
    http://d.hatena.ne.jp/sho_ta/20090218/1234913290
    村上春樹さんのイスラエル講演をハルキ風に和訳してみた
    http://ahodory.blog124.fc2.com/blog-entry-201.html
    村上春樹エルサレム文学賞受賞スピーチ抄訳
    http://maturiyaitto.blog90.fc2.com/blog-entry-139.html
    村上春樹さんの講演要旨
    http://www.47news.jp/CN/200902/CN2009021601000180.html
    壁と卵
    http://anond.hatelabo.jp/20090217141115
    村上春樹 受賞スピーチの翻訳
    http://blog.livedoor.jp/bijoux_iris/archives/51178843.html

    2009/02/16

    2009年02月16日付け日本経済新聞夕刊

    2008年10-12月期のGDP増減率の内訳
    前期比(%)実質名目
    GDP-3.3-1.7
    個人消費-0.4-1.3
    住宅投資+5.7+4.0
    設備投資-5.3-5.7
    政府消費+1.2+0.1
    公共投資-0.6-1.4
    輸出-13.9-21.8
    輸入+2.9-17.9
    GDPマイナス12.7% 10—12月実質年率、35年ぶりの減少率
    (中略)
    10―12月期の実績は日経グループのQUICKが「コンセンサス・マクロ(経済予測)」で民間調査機関30社に聞いた直前の予測の平均値(前期比年率11.8%減)を下回った。

    前期比年率換算-12.7%を分析する。
    1)前期比が-3.3%のとき概算で-3.3×4=-13.2%となる。実際には前期比96.7%の4乗が年率換算で87.4%が出される。瞬間風速で大きくなれば年率ではさらに大きくなる。10-12月期の場合はリーマン・ショックであることは言うまでもない。

    2)輸出の消滅
    GDPの-3.3%をさらに分解する。消費がGDPの約6割、設備投資と政府消費と輸出と輸入がGDPの約15%と丸める。さらに個人消費と政府消費はGDPの大部分であるものの景気変動の要因ではない。設備投資(-0.78)、輸出(-2.08)、輸入(+0.43)に15%の係数をかけて説明できるのは-3.29%である。とくに輸出の貢献が大きい。

    3)名目との差
    実質はラスパイレスで算出しているので、名目と比べてデフレで上ぶれ、インフレで下ぶれする。輸入の名目が-17.9%であるにも関わらず、実質で+2.9%なのは資源価格の下落にほかならない。

    2009/02/15

    ハフ(1968)

    ダレル・ハフ(1968)『統計でウソをつく法』高木秀玄訳、講談社。

    ウソを見破るには以下の点に注意しなければならない。
    1)誰がそう言っているのか?
    2)どういう方法でわかったのか?
    3)足りないデータはないか?
    4)言っていることが違いやしないか?
    5)どこかおかしくないか?

    統計操作のいろは
    -抽出方法や母集団そのものに偏らせること。
    -算術平均、中央値、最頻値などの平均の概念を使い分けること。
    -余計な部分を切り取って小さな数字を引き延ばして大きく見せること。
    -絵グラフで2倍の変化を8倍(縦×横×高さ)に大きく見せること。
    -因果関係のない現象同士に因果関係をつけること。
    -権威付け(××博士も推奨!など)。

    とくに一般的な統計ではゼロに偏った分布をする統計が多いので、
    単純平均>中央値>最頻値となることが有名。したがって、半数以上が平均以下であってもおかしくない。
    http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/blog/node/2350
    2009年1月22日付け朝日新聞の一面記事。

    2009/02/14

    井堀(2008)

    井堀利宏(2008)『「歳出の無駄」の研究』日本経済新聞出版社。

    2008年度予算ベースにおける特別会計の歳出総額約368兆円のうち約190兆円が会計間の移転支出であり、重複計上を控除した純計額は約178兆円であるという。そのうち、国債償還費・利払い費の約88.6兆円、社会保障給付費の約52.0兆円、地方交付税交付金等の約16.7兆円を義務的経費だとみなせば、残りは約21兆円にしかすぎない。

    無駄にも色々あるし、埋蔵金としては期待できる額ではない。増税の先送りで得をするのは将来の増税に備える必要のない中高年、あるいは現状維持を望む利益団体である。現状の脱却方法としては、選挙制度の改変(年齢層別選挙など)や財政規律の確立が挙げられる。財政規律としては、総額を抑制するとともに、予算の分配を見直し、受益者負担の原則と事業評価の徹底を関連させることである。

    本の中身は財務省主計局とほぼ同意見(・・・というか同じ図表を使い回している)。伊藤元重先生とともに増税を叫ぶ。

    キャリア形成の理論

    Career Anchors vs Planned Happenstance
    キャリア・アンカー理論
      キャリアアンカー理論は、MITのエドガー・シャイン教授が70年代に 作り出した概念。船がアンカーを落とすように、自分の適性、自分が価 値を感じること、自分がやりたいことを早くみつけ、そのゴールを目指し てキャリアを積んでいくことが望ましいという考え方です。いかに天職をみつけ、きちんとその天職を目標と認識するかがここでキーポイントとなります。
      シャイン教授が同理論の修正・変更を続けた結果、アンカーには以下の八つの種類があることがわかりました。

    八つのアンカー
      1. Autonomy/independence(自立性)
      2. Security/stability(経済的・地理的安定)
      3. Technical-functional competence(知識・技術)25%
      4. General Managerial Competence(管理能力)25%
      5. Entrepreneurial Creativity(起業家的独創性)
      6. Service or Dedication to a Cause(貢献心)
      7. Pure Challenge(未知への挑戦)
      8. Life Style(経済的・地理的安定+家族+社会的価値観)
      *括弧内は、本文著者による訳。

      この八つのアンカーは、経営学の教授が作ったもののため、多少の偏りがあるかもしれません。シャイン教授によれば、人々は、昇進や解雇、異動など人生の節目に直面したとき、自己のイメージにぶつかり、 自分たちのキャリアアンカーに気づくそうです。もちろん、就職や留学、結婚もこのターニングポイントに含まれます。

    計画された偶然性
      一方、スタンフォード大のジョン・クランボルツ教授による「計画された偶然性論(Planned Happenstance)」は、90年代に入って出てきたもので、キャリアは偶然発生したことにきちんと対応し、その積み重ねで形成されるという考え方がベースにあります。この理論によれば、最初に適正を見つけることよりも、自分では予期しない仕事などの偶然に 対し最善を尽くすことで、次の展開が開けるということになります。

      この考え方の背景には、以下の前提があります。
      1. 人間は、自ら決めることなく、ある一定の時間・場所に異なる特性 や前提を持って生まれる。
      2. 人間は、無数の予期せぬ出来事が起こる環境の下で、プラス・マイ ナス両方の要素を学ぶ。
      3. 人間は、自分たちで出来事を引き起こすことができ、学習を最大化するためにすべての機会やリソースを活用できる。
      
      以上の前提を踏まえた計画された偶然性理論は、予測できない出来事を学びの機会へと変換させるための概念的枠組みというわけです。
    http://www.younglions.jp/2006/12/15/171251.php

    商社

    総合商社にお勤めの武浪猛氏のご考案。

              商社内定へのマスタープラン(案) Ver.01
                                                     武浪猛
    (1)筆記対策
     -英語他(専用参考書3冊やり込む)
    (2)商社全般及び各社の志望動機作成
     -商社全般の志望理由検討
      ・興味のある仕事の選定(会社案内、WEB、セミナー、新聞、雑誌など)
      ・興味のある仕事の深堀(商社OBOG訪問中心 ⇒ 各社より周辺ビジネス担当者にアポ取り)
      ・興味のある仕事の他業界の取り組み調べ(会社案内、WEB、セミナー、新聞、雑誌、軽く他業界OBOG訪問) 
     -各商社の志望動理由検討
      ・各商社の戦略の確認(会社案内、WEB、セミナーなど)
      ・興味のある仕事への取り組み状況調べ(1次調査:会社案内、WEB、セミナー、新聞、雑誌/2次調査:商社OBOG訪問)
      ・各商社のカラー、印象など把握(商社OBOG訪問中心)
    (3)主要な経験に関する自己PR作成
     -部活動(主要エピソード3つの抽出と付加価値・学びの整理)
     -アルバイト(主要エピソード3つの抽出と付加価値・学びの整理)
     -研究テーマ(主要エピソード3つの抽出と付加価値・学びの整理)
     -愛読書(数冊に関して感銘を受けた内容と学びを整理)
     -その他PRできる事項の有無確認
    (4)経済、ビジネス、商社に関するスタンス作成
     -日本経済の有り方に関する私見検討(日経新聞、WEBニュース、書籍/教授・先輩の考え方)
     -ビジネス、経営のあり方に関する私見検討(日経新聞、WEBニュース、書籍/教授・先輩の考え方)
     -商社に関する私見検討(日経新聞、WEBニュース、書籍/教授・先輩の考え方)
     -仕事、プロフェッショナリズムに関する試験検討(書籍/教授・先輩の考え方)

    http://ameblo.jp/shousha/entry-10026362908.html

    Lucas (1976)

    Lucas Jr., Robert E. (1976) "Econometric Policy Evaluation: A Critique," Carnegie-Rochester Conference Series on Public Policy, 1976, vol. 1, issue 1, pp. 19-46.

     状態変数ベクトルが、と外生変数ベクトルおよび独立同一分布に従うランダムなショックによってで表わせるとする。しかし、この関数 を直接知ることはできず、経験的に推測することしかできない。そこで理論的に組み立てられたモデル式における全てのパラメータを過去の変数から最小二乗値法や最尤法などで同定することによって、を導く。パラメータとなるベクトルが定数であり、外生変数となるベクトル が自由に操作可能ならば、の予測値をに入れることによって将来予測が可能である。これは従来のIS-LMモデルの姿であった。
     しかし、関数とパラメータの組み合わせは経済の行為主体(agents)の意思決定ルールから導かれるものであり、理論的には、その意思決定は行為主体がおかれた状況の下で最適化するものである。過去のデータから推定されるものであり、モデルのパラメータが定数とはいえない。政策決定のルールが変われば、合理的な情報は変化し、その下での最適化行動自体が形を変えてしまうのである。
     そこで、パラメータは、政策決定ルールのパラメータ(ベクトル)およびショックで変化すると考える。外生変数はのように決定され、パラメータで操作可能である。そして、状態変数は となり、パラメータの操作が外生変数を動かすとともに、パラメータも動かすのである。旧型のモデルではが定数であったが、新型のモデルでは政策ルールの変化に影響されるのである。
     ここに最適化行動というミクロ的基礎付けを導入するのである。

    2009/02/13

    植田(2006)

    植田正也(2006)『電通「鬼十則」』PHP研究所。

    「鬼十則」
    1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
    2.仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
    3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
    4.難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
    5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
    6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
    7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
    8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
    9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
    10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

    「裏十則」
    1)仕事は自ら創るな。みんなでつぶされる。
    2)仕事は先手先手と働きかけていくな。疲れるだけだ。
    3)大きな仕事と取り組むな。大きな仕事は己に責任ばかりふりかかる。
    4)難しい仕事を狙うな。これを成し遂げようとしても誰も助けてくれない。
    5)取り組んだらすぐ放せ。馬鹿にされても放せ、火傷をする前に…。
    6)周囲を引きずり回すな。引きずっている間に、いつの間にか皆の鼻つまみ者になる。
    7)計画を持つな。長期の計画を持つと、怒りと苛立ちと、そして空しい失望と倦怠が生まれる。
    8)自信を持つな。自信を持つから君の仕事は煙たがられ嫌がられ、そしてついには誰からも相手にされなくなる。
    9)頭は常に全回転。八方に気を配って、一分の真実も語ってはならぬ。ゴマスリとはそのようなものだ。
    10)摩擦を恐れよ。摩擦はトラブルの母、減点の肥料だ。でないと君は築地のドンキホーテになる。

    GIGAZINE(2007年3月16日付け記事)、<http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070316_dentsu10/>、2009年1月13日ダウンロード。

    2009/02/11

    Langlois and Cosgel (1993)

    Langlois, Richard N. and Metin M. Cosgel (1993) "Frank Knight on Risk, Uncertainty, and the Firm: A New Interpretation," Economic Inquiry, vol.31, Issue 3, pp.456-465.

    Knight (1921)の主張はこうだったのではないか。
    1)リスクと不確実性の違いは、ヘッジが可能かどうかだけでない。
    2)企業の存在に関してはモラルハザードの理論を説明できるが、広くて浅い解釈にすぎない。
    3)経営と所有の分離の問題は、コメンテーターが言っているほどには明らかな間違いではない。

    Abstractを読んだだけ。

    Taylor's overlapping contract model

    Romer, chapter 6.

    独占企業によるマークアップを上乗せした価格設定

    労働供給関数

    労働需要関数

    ⇒Market Clearing

    ⇒対数線形化

    yの係数はaggregate demand externalityと呼ばれる。

    貨幣需要関数

    金融政策ルール

    貨幣の硬直性の仮定
    ・参議院選挙みたいに半分ずつ順番に価格改定が可能。pは現在の価格インデックス、p*は上で求めた最適価格、xは改定された価格とする。
    価格インデックスは

    改定は2期ごとであり、現在と将来の最適価格両方を考えて価格設定せざるをえないので、

    解く。


    ただし、


    ⇒Taylor (1979,1980)

    2009/02/10

    Cristiano et al. (2004)

    Christiano, Lawrence, Roberto Motto, Massimo Rostagno (2004) "The Great Depression and the Friedman-Schwartz Hypothesis," ECB Working Paper No. 326.

    DSGEでFriedman-Schwartz説を分析する。

    Abstract
    We evaluate the Friedman-Schwartz hypothesis that a more accommodative monetary policy could have greatly reduced the severity of the Great Depression. To do this, we first estimate a dynamic, general equilibrium model using data from the 1920s and 1930s. Although the model includes eight shocks, the story it tells about the Great Depression turns out to be a simple and familiar one. The contraction phase was primarily a consequence of a shock that induced a shift away from privately intermediated liabilities, such as demand deposits and liabilities that resemble equity, and towards currency. The slowness of the recovery from the Depression was due to a shock that increased the market power of workers. We identify a monetary base rule which responds only to the money demand shocks in the model. We solve the model with this counterfactual monetary policy rule. We then simulate the dynamic response of this model to all the estimated shocks. Based on the model analysis, we conclude that if the counterfactual policy rule had been in place in the 1930s, the Great Depression would have been relatively mild.

    三輪(1997)

    三輪芳朗(1997)『規制緩和は悪夢ですか』東洋経済新報社。

    三輪教授の産業組織を聴講しましたが、独特の主張に驚かされました。「メインバンク制」も「政策金融」も「産業政策」も「系列」もすべて神話である云々。「話はこういう話です。」「おちょくって書いてやりました。」「私は新聞から嫌われています。」「この話は本当か。」「私の本は絶版になりましたけれども。」という言葉が好きなようです。三輪(1997)のコピーはレジュメとともにバラまかれたものですが、「5つの誤解(コンセンサス)」に「5つの事実(三輪氏の主張)」をぶつけています。

    5つの誤解
    1)日本経済は大企業によって支配されている。
    2)少数の企業集団とメインバンク制云々。
    3)産業政策は経済成長に貢献した。
    4)取引関係は長期的かつ排他的。新規参入は難しい。外国企業にとってはとくに難しい。
    5)株式持ち合いが安定的株主が確保されていたが、バブル崩壊で持ち合い解消し、欧米化云々。

    5つの事実
    1)日本経済は中小企業によって支配されている。
    2)企業集団は少数でない。結合は強固でない。メインバンク制は過大評価。
    3)産業政策の貢献はほぼゼロ。
    4)長期的取引関係は事実。ただし、排他的ではない。外国企業の成功を妨げていない。
    5)取締役が支配。株式持ち合いではなく、組織の形成メカニズムの問題。

    芦部(1987)

    芦部信喜(1987)『憲法判例を読む』岩波書店。

    故芦部先生の教科書のほうの『憲法』と比べて、優しい語り口で展開されている。憲法判例が簡単に整理されていてわかりやすい。付随的違憲審査権や人権訴訟の射程から話が始まるが、「二重の基準(double standard)」の理論と実際が本書の中心内容となるだろう。したがって、殆どは人権分野であって、統治機構分野は殆どない。

    [憲法判断の回避]
    法律の争訟がない場合
    「板まんだら事件」…宗教上の価値は裁判所では争えない
    「警察予備隊事件」…付随的違憲審査制の下で「警察予備隊の設置が憲法9条に違反する」という抽象的な訴えは裁けない
    「長沼事件」…森林法に定められた国有保安林を基地の設定のために解除することは平和的生存権を侵害するとした訴えた事件。最高裁は保有林の代替施設の設置があるとして、権利侵害の要件がないと判決した

    法律解釈で避けられる場合
    「恵庭事件」…切断された自衛隊の連絡線は「防衛の用に供する物」ではないから被告(牧場主)は無罪であると札幌地裁は判決した。自衛隊は違憲であるから無効であるという被告の主張を回避。

    統治行為/裁量行為
    「砂川事件」…裁判所は条約も違憲審査できるが、安保条約は高度の政治性を有する条約であるから、「一見明白に違憲無効であると認められない限りは」最終的には主権を有する国民の政治的批判に委ねられるべきで裁判所が違憲か合憲か審査すべきではないという趣旨の最高裁判決

    「苫米地(とまべち)事件」…衆議院の解散により失職した原告の名前から命名。裁判所は衆議院の解散の効力を裁けないとした

    「(昭和)39年参議院定数事件」など…一票の格差は極端な不平等が生じない限り違憲問題を生ずるとは認められない。一票の格差については21世紀に入ってからも重要判例が出ているが、選挙結果それ自体を違憲で無効とはしていない。


    国会の尊重
    「警察法改正無効事件」…国会混乱の中、国会法あるいは衆議院規則に違反するような形で警察法が改正されたが、与野党がその後の折衝で一応妥協が成立したため、違憲訴訟があったとしても裁判所は国会の自主的な判断を尊重して法律の有効無効を判断すべきではない。


    [射程]
    外国人
    「マクリーン事件」…日本で政治活動をしたために残留期間延長を拒否されたマクリーンさんの事件。外国人の権利は「権利の性質上日本人にのみを対象としている場合を除き」憲法によって保障される。しかしながら、外国人に入国の自由はない。
    外国人地方選挙権…選挙権がないのは違憲ではないが、禁止もされていない

    法人
    「八幡製鉄事件」…「憲法第3章に定める国民の権利及び義務の各条項は、性質上可能な限り内国の法人にも適用されると解すべき」として、特定の政策を支持、推進したり、反対したりする政治的行為をなす自由を有する。
    「南九州税理士会政治献金事件」…強制加入の団体なので政治活動は会員個人が自主的に判断すべき

    私人間(私人と私人の間の関係)
    「日産自動車事件」…就業規則の男女不平等に対して民法90条の「公ノ秩序」を通じて憲法14条を適用
    「三菱樹脂事件」…学生運動の経験秘匿を理由に幹部不適任として切り捨て。憲法14条19条は適用されない。(間接適用説か無適用説かは不明)

    [二重の基準]
    精神的自由の制約は民主的手続きによる修正を難しくするので経済的自由の場合よりも厳しい判断基準が求められるという理論。経済的自由の規制はわかりやすく、積極的目的規制の場合は消極的目的規制よりも許されるとされる。積極的目的とは弱者の救済であり、消極的目的とは危険の防止である。「小売市場事件」(積極的目的、合憲)「薬局距離制限事件」(消極的目的、違憲)あるいは複数の「公衆浴場法違反事件」(消極的目的から積極的目的に変化、いずれも合憲)あたりが参考になる。精神的自由、あるいはその他の人権については、はっきり言えばよくわからないので、各重要事件の内容と判決を丸暗記するしかないような気もする。

    ガルブレイス(1990, 1991)

    ジョン・ケネス・ガルブレイス(1991)『バブルの物語―暴落の前に天才がいる』鈴木哲太郎訳、ダイヤモンド社。

    歴史はバブルを繰り返してきたが、共通項がないわけではない。

    投機熱が何度も発生する理由は2つある。ひとつめは、金融界の出来事はすぐに忘れ去られてしまうということ。カタストロフィの記憶が消え、その外見を変えた新たな投機熱が人々の心をとらえるまでに20年かかる。これは新世代が台頭するのに要する年数でもある。奇しくも、1987年から丁度20年である。(でも、LTCMとかエンロンとかを挟んでいるか。)ふたつめは、拝金主義である。現在でいえば外資人気みたいなもんで、金を稼ぐほど能力が高いヤツと見られがち。

    バブルの中には時代の寵児がいる。成功した投資家は賞賛され、自分自身ですら間違いが皆無と思いこむ。投資する大衆は、この金融の天才に追従し、その時代に登場した新たな投資機会を歓迎する。それはLeverageの再発見であり、ジャンクボンドや証券化商品のように、「現実の資産で裏付けられた負債の創造」が外見を変えているにすぎない。新たな投資機会は人々の心をとらえると、価格上昇が続く。これに対して、市価は下落することなく未来永劫上昇すると考える投資家もいるし、バブルと考えつつも便乗して暴落前に利確する能力があると確信している少数派の投資家もいる。しかし、何らかの原因をきっかけに、前者のような投資家も後者のような投資家も、自分だけは下落のスパイラルから抜け出そうと、雪崩のように売りたたきはじめる。

    下落の原因は議論が分かれる。大抵はバブル期に賞賛されていたものが非難されるにすぎない。たとえば外銀とかsubprime mortgageとか。次はCFD取引であろうか。罰すべき犯人を探す。規制や改革の話が出る。しかし、投機熱の背景にあった楽観主義は議論されない。なぜならば、あまりに多くの個人と機関が投機に参加していたために、社会全体よりも特定の投資家に責任を帰すことが穏当だからである。そして、市場は正しい、市場自体には神の手が働くという神学がある。何らかの原因で市場が正しく機能しなかったのであって、市場は悪くない、何らかの原因が悪いと説明される。

    バブルが何度も再来するのは人々の楽観主義である。この群集心理から抜け出せれば救われるが、それには二つの大きな壁を乗り越えなければならない。まず、投機熱の発生で自分も資産家になろうと挑戦しがちだが、その私利私欲を脱しなければならない。そして、投機熱を広めている「世論」やオピニオンリーダーを疑わなければならない。シラーの言葉を借りれば、「だれも、ひとりひとりみると/かなり賢く、ものわかりがよい/だが、一緒になると/すぐ、馬鹿になってしまう」(経済学者のロバート・シラーじゃなくて詩人のシラー)

    明白な楽観ムードは愚かさの象徴ではないか、知性と金額は無関係である、といった高度の懐疑主義が唯一の対策である。市場があまりに楽観的なときや、特別な先見の明に基づいて投資を勧められるときは、警戒すべき時である。良識ある全ての人は渦中に入らないほうがよい。

    経済の実態は諸行無常であり、歴史の教訓は必ずしも指針にならない。A.スミス、J.S.ミル、K.マルクス、A.マーシャルといった偉大な学者は、もはや指針としては不確かである。それでも、支配的状況が同じならば、従わなければならない不可避な教訓もある。それは大衆迎合な準則ではありえない。A.マーシャル曰く「経済学者は喝采を受けることを何よりもおそれるべきだ」といわけである。

    ガルブレイス(1955, 2008)

    ジョン・K・ガルブレイス(2008)『大暴落1929』村井章子訳、日経BP社。

    1920年代といっても金融市場はかなり発達していた。株価指数を扱った投資信託だけでなく、ファンドオブファンズもあり、レバレッジにレバレッジをかけて何百倍もの効果を発揮していた。とくに激しかったのが、ゴールドマンサックスである。バブル崩壊前夜、企業向けの投資銀行業務と一般向けの証券仲介業務から投資信託に参入し、子会社としてゴールドマンサックストレーディングを設立した。企業合併、自社株買いで株価を上昇させ、投信子会社を設立する。その投信子会社には、普通株だけでなく、社債と優先株によるレバレッジをかけていた。最終的には、金融持株会社を株式交換で買収するのだが、発行時には104ドルだったゴールドマンサックストレーディング株が、バブル後には1.75ドルになっていたのである。

    Woodford (2009)

    Woodford, Michael (2009) "Convergence in Macroeconomics: Elements of the New Synthesis," American Economic Journal: Macroeconomics, Vol. 1, Issue 1.

    まとめ
    http://d.hatena.ne.jp/tazuma/20090130

    メモ
    1960s以前
    IS曲線とLM曲線のどちらが垂直的か。
    財政出動と金融緩和のどちらが需要促進的か。

    1960s-early 1970s
    新古典派統合とマネタリストの対立
    比較静学か時系列か。

    late 1970s-1980s
    新しい古典派とリアルビジネスサイクル論の登場
    Keynesianと比較すると、
    共通点:短期的な構造モデルの構築。
    相違点:異時点間の一般均衡の導出。

    現状のコンセンサス
    1)異時点間の一般均衡による基礎付け。短期と長期を結びつける。
    2)計量経済学による構造の実証。
    3)期待の内生化。とくに政策ルール変更による期待の変化に注意。
    4)撹乱項が景気変動の源。
    5)金融政策はとくにインフレ率の制御手段として効果的である。

    現状の議論
    現状のDSGEモデルはあまり厳密でないと批判されている。
    DSGEモデル以外で有用なモデルがない以上、厳密性を追求する経済学者は政策提言が全くできなくなってしまう。
    などなど

    2009/02/09

    木原(2002)

    木原誠二(2002)『英国大蔵省から見た日本』文藝春秋。

    英国大蔵省に出向した財務官僚(当時)がそのときの経験をつづった本。政治改革や行政改革の行く末のヒントになる。たとえば、日本の公務員が「国民全体の奉仕者」であるのに対し、英国の公務員は「時の政府の奉仕者」である。すなわち、官と政の結節点は大臣にのみ許されており、行革のひとつである接触禁止事項がこれに該当する。但し、英国ではそうした制度に応じて周辺には歴史的慣行が整えられてきた。たとえば、「官僚が政策のいくつかの選択肢を、注記や予想される反対意見とともに提示し、大臣がその中から決定する」というよりはむしろ、「まず大臣が表明している政策や課題があって、官僚はそれに沿った行動判断を明確なストーリーとして助言する」ようである。このように、日英の比較文化を通じて国政のあり方を再考させられる。日本は革命的な改革が好まれるのに対し、英国では漸進的な改革が志向される。この差は制度に対する過剰な信仰に起因するのではないだろうか。すなわち、制度は完璧に良い制度でなければならず、「今後変更することはないし、この制度の下で良い結果が必ず出る」と思われることである。だからこそ、私的に解決すべき問題について官の責任を安易に問うてしまうのではないだろうか。

    ほかにも英国政治の様子が描かれていて面白い。

    与謝野(2008)

    与謝野馨(2008)『堂々たる政治』新潮社。

    耳障りなことを言うのが自分の仕事であるとして、大衆迎合の姿勢を否定している。内容としては小さな政府路線への懐疑や著者周辺の人物関係が中心であった。前者については、構造改革を効率の良い部分へ資本と労働力を移動させるという思想よりも、三つの過剰に対する意識改革を成し遂げた点について評価している。ここで、善悪の二項対立で語られがちな市場原理主義の成果とは見なしていない。そして、走りすぎた小泉改革の修正を唱える。

    国家財政=国民のお金
    社会保障の必要性

    ⇒財源不足
    会計上の無駄=年数百億程度
    政策上の無駄=殆どが義務的歳出

    ⇒2015年までに消費税率10%
    歳出削減努力

    ⇒社会保障税として目的を明確化

    耳障りな社会保障改革については「少子高齢化で拡大はやむをえない」とする立場。

    2009/02/08

    Acemoglu (2001)

    Acemoglu, Daron (2001) "Human Capital Policies and the Distribution of Income: A Framework for Analysis and Literature Review," New Zealand Treasury Working Paper 01/03.

     OECD諸国の多くで所得と賃金の格差が急速に大きくなっている。本レポートでは、賃金・所得の格差の決定要因に関する研究をサーベイし、政策分析のフレームワークを提示する。焦点をおくのは人的資本政策だが、所得格差を減少させるこれ以外の政策も考察する。
     本レポートの結論は、OECD諸国で拡大した所得格差はより大きな賃金格差とより高度な技能プレミアムを反映したものであるということ、そして、技能プレミアムを上昇させた原因としてもっとも蓋然性の高いのは技能と教育への需要を増大させた技術変化であるということ、この2点である。ただし、たとえば最低賃金を定める法や労働組合による交渉の重要性といった労働市場制度の変化もまたなんらかの役割を果たしているらしい。たしかに技能の供給には有益な効果があるものの、格差を縮めるもっとも有効な政策は、賃金分配の頂点と底辺の間に横たわる技能のギャップをせばめることであろう。たとえば中等教育の質を改善したり、OJTを振興するといったことがこれにあたる。


    http://ja.daronacemoglu.wikia.com/wiki/Acemoglu公式翻訳:『人的資本政策と所得分布』

    Romer (2000)

    Romer, David (2000) "Keynesian Macroeconomics without the LM Curve," Journal of Economic Perspectives, Vol. 14, No. 2, Spring 2000, pp. 149–169.
    邦訳by別所俊一郎先生
    http://www.econ.hit-u.ac.jp/~bessho/paper/00/wi_outLM.pdf

    IS-LM-ASモデル
    生産水準、価格水準、利子率という未知数に対して3本の方程式を立てて解く。
    ⇒問題点
    1)利子率には名目と実質があるからIS-LMが書けない。
    2)AD-ASは価格水準と生産水準の関係だから物価上昇を描けない。
    3)中央銀行は貨幣供給量を政策ツールとしていない。

    メモ:AD曲線はIS-LMから導出。ASはフィリップス曲線+オークン則みたいなもん。

    IS-MP-IAモデル
    Monetary PolicyとInflation Adjustmentで代替。
    長所
    1)中央銀行が利子率を政策ツールとしている。
    2)利子率は実質で統一されている。
    3)利子率で水平なのでLM曲線よりも単純である。
    4)ADは物価上昇率と生産水準の関係として定義。
    5)連立方程式を解かなくて済む。
    6)モデルの動学化が直感的かつ合理的である。
    7)M/P=L(i,Y)のMは金利調整手段としてのハイパワードマネーの操作として記述できる。
    8)予想物価上昇率の内生的な変化を需要サイドの分析に統合可能。
    9)開放経済でも閉鎖経済でも、固定相場制でも変動相場制でも適用可能。
    10)固定相場制と金融政策の自由が両立しないことを簡単に説明できる。
    11)変動相場制において外準を貯め込むことはできるが、外貨を切り崩すことはできない。

    図示
    まず、(output, real interest rate)の座標を書く。IS曲線は右下がりの曲線となる。
    つぎに、MP曲線としてreal interest rateを所与にして水平の直線をかく。これが金融政策となる。
    これらのグラフの下に(output, inflation rate)の座標を書く。
    AD曲線は総需要であり、IS-MPの均衡を表わす。インフレ率が上がったとき金融政策における実質利子率が上がることになるので、outputが下がる。こうした関係からADは右下がりの曲線を描くことになる。
    一方、IA曲線はinflationのadjustを表わし、水平の直線を描く。adjustが一瞬で達成されるならば、つねに潜在GDPの位置になるようにIA曲線が移動する。価格に硬直性があるならば、潜在GDPに至るまでIA曲線が上下にゆっくり動くというわけである。

    Mankiw (2000)

    Mankiw, N. Gregory (2000) "The Savers-Spenders Theory of Fiscal Policy," American Economic Review, May 2000, pp. 120-125.
    基本的な事実
    A.消費の平準化は均衡状態とは言い難い。
    B.多くの家計には流動性制約がある。
    C.資産家は遺産があるゆえに資産家である。

    ⇒バロー・モデルを改善する。

    アメリカ人は守銭奴と浪費家の2種類で成り立っている。
    守銭奴はBarro-Ramsey modelに従う。
    浪費家は可処分所得すべてを浪費する。

    新しいモデルの主張
    1)一時的な減税が財・サの需要に大きな効果を持つ。
    2)長期的には国債によるクラウディングアウトは必ずしも発生しない。
    3)国債の発行は均衡状態における格差を拡大させる。
    4)歪んだ税制は中長期的な影響としてのクラウディングアウトを起こしうる。
    5)浪費家にとって最適の資本課税はゼロである。
    モデルの全体像は数式で明示されていなかった。

    Krugman (1993)

    Krugman, Paul R. (1993) "How I Work," American Economist, Sep., 1993.

    RULES FOR RESEARCH
    1. Listen to the Gentiles
    2. Question the question
    3. Dare to be silly
    4. Simplify, simplify

    -他の分野から応用する。
    -既存のコンセンサスをひっくり返す。
    -非現実的な仮定、モデルのための仮定を作る。
    -複雑なモデル構築は諦める。

    邦訳
    http://cruel.org/krugman/howiworkj.html

    ナイ(2008)

    ジョセフ・S・ナイ(2008)『リーダー・パワー』北沢格訳、日本経済新聞出版社。

    現代社会のリーダーとは、集団が共通の目標を設定し、それを手助けする存在と定義され、ついて来る人々をどれだけ動員できるかにかかっている。脅迫して誘導するハードパワーと惹き付けて仲間にするソフトパワーを効果的に組み合わせて用いる能力、スマートパワーが必要である。
    2月8日付け日本経済新聞朝刊19面。古城佳子評より。

    ところで国際政治における国力、国益とは何か。
    相対的利益
    軍事という観点で見れば、他国との強弱が国益に関わる。ゼロサムである。それに関連して、バランスオブパワー(かつての欧州の多極主義)、米ソ対立(二極主義)、覇権安定論(アメリカ一極主義)などの均衡状態が論じられる。

    絶対的利益
    経済という観点で見れば、他国の発展が自国に好影響となる。比較優位説のように、世界が相互依存することによって、世界全体の水準を上げることができる。他国依存によって独立した政治が難しくなるという反論も。たとえば日本は、原油の高騰に敏感で、禁輸に脆弱である。

    ソフト・パワー(ジョセフ・ナイの独自性)
    国力を軍事や経済といった観点で見るのがハード・パワーで、文化・コンテンツといった観点で見るのがソフト・パワーである。ソフト・パワーも国力の源泉だから、しっかり分析を。

    2009/02/07

    グリーンスパン(2008)

    アラン・グリーンスパン(2008)『波乱の時代 特別版―サブプライム問題を語る』山岡洋一訳、日本経済新聞出版社。

    サブプライム・モーゲージについて詳しく解説しているが、サブプライムでなくとも他の証券がバブル崩壊を導いたに違いないという。

    では、何が問題なのか。

    銀行はいままで保守的な預金者のおかげで、貸出金利と預金金利の差とかでリスクを吸収していたが、保守的な預金者が減って、リターンを求めがちな投資家に依存するようになった。そのために証券会社だけでなく銀行までも資金調達に苦労し、金融仲介機能の健全性が失われて経済に大打撃を与える。いつもは証券か銀行かチョンボしてないほうが機能していたけど、今回は両方ダメ。

    リスク管理システムがしっかりしていれば、金融システムが凍結することはないのだが、どうしてもモデル化が難しい。アニマル・スピリッツのような人間の非合理的反応を説明変数として加えたいところ。しかし、リスク管理を強化したところでバブルの時期が長く延びるだけ。投機の波を効果的に抑えることは不可能なので、市場が常に十分な柔軟性と回復力を持ち、保護主義や硬直的な規制に縛られておらず、危機のショックを吸収し緩和できるようにしておくべきと主張する。必要なのは取り締まりの強化だけ。

    非金融セクターは低い長期金利を背景に財務状況は改善済みであった。事業を拡大しても満足できる利益率を確保できそうになかったからである。現在の非金融セクターは、借入れの難しさよりも売り上げの落ち込みを心配している。

    市場の知識という面では、金融規制当局は民間のリスク管理者に劣る。新BIS規制が民間のリスク評価モデルを参考にしたように、今後も民間による市場慣行が官製ルールとなる。民間のリスク管理の仕組みを改善するしかないが、市場は既に改善の兆候が、deleverageや流動性の低いABSの需要減少に現われている。

    公的資金は、優良な担保を提供する金融機関には融資しても問題ない。しかし、闇雲に救済するとなれば、too big to failの見解が浸透して金融システムを歪ませてしまう。民間のリスク管理は数十年に一度の事態以外ならば耐えられるが、そうでなければ中央銀行が頑張るしかない。政府としては、FRBの財務基盤や金融政策に影響がないようにすべき。ベアスタ救済で作った手続きを法制化し、救済の条件を規定し、制限する。システミック・リスク対策として財務省権限の公的資金投入の透明化、RTCのような金融仲介機関の破綻処理組織の整備を。

    デリバティブの規制は良くない。闇雲な規制の強化もナンセンス。CDSは役に立っているし、監督体制を確立した国も金融危機に対応しきれてない。ただ、金融機関は適切な資本と流動性の余裕を持ち、予想外の事態に耐えられる能力を備えるべき。

    バブルが膨らむのは、信用がありあまって長期金利が低くなっていたから。過去の経験では、深刻な信用危機によってデフレが発生する。しかし、いまではマイルドなインフレだ。エネルギーや食料品などの商品価格の高騰からだ。中央銀行は今後、インフレに悩むだろう。アメリカの長期金利は10%を超える一方、株式や不動産など収益性資産の利回りは低下するだろう。(・・・って原油価格がいま下がっているのは、一過性のものなのか?)

    長期国債は上がってきているかもしれません。

    草間 ・畑村(2005)

    草間俊介、畑村洋太郎(2005)『東大で教えた社会人学―人生の設計篇』文芸春秋。

    もともと機械科に進むつもりだったが、大学入学後に読んで日本に危機感を抱いた。

    悲観的な日本の先行きの中、日本の技術流出は止まらない。技術者軽視がものつくりの国を堕落させたのだ。これは林・プレスコットが長期不況の原因をTFP低下に見出したことと合致する。コミュ力不足を理由として理系が管理職からパージされ、マネジメントには技術的な視点が欠如しているという。このままでは国が沈没する。

    逆に、こうした世の中だからこそ独立自尊を徹底しなければならない。

    中島(2007)

    中島誠(2007)『立法学―序論・立法過程論』法律文化社。

    国会の実際を中心に展望している。

    国会は立法機能を持つが、閣議の前に行なわれる与党審査(党内の同意)と国会の前に行なわれる国会対策(与野党の合意)さえあれば、その後のプロセスは儀礼であり、茶番劇である。とくに新聞では、「特落ち」の防止、「しばり」、「観測記事」、「番記者」などから、この水面下の動きは透明に報じられていない。しかし、テレビでは話題性が重視される。事実や論点が1軸の善悪という図式に単純化され、劇場型・ワイドショー型民主主義を演出する商業主義に陥らないようにしなければならない。

    まず、法律立案の段階では行政機関から生まれる。(内閣提出法案)しかし、ルーティンワークに忙殺される余り、精神が腐り、なおかつ評価されるような立案ができなくなっている。調整型・思いつきの政策が多く、前例踏襲主義から脱却できない。プシンシパルたる政治家のエージェントであり、議決の拒否、人事への介入、生涯賃金の担保などを握られることで自主性を侵害される。

    とくに強い影響を持つのは、いわゆる族議員(省庁別に分けられた自民党部会)である。こうした族議員に対して、様々な利益団体が規制政策、分配政策、再分配政策に働きかける。日本の利益団体の特徴としては民間大企業労使連合が優位で、その周りにいくつかの対立軸(平和、福祉、環境、消費者保護など)がある構造となっていた。しかし、新保守主義と新自由主義の強まりや懐柔から対立は自然消滅しつつある。しかし、経済構造の変化から民間大企業労使連合自体が弱体化してきており、ここで台頭しつつあるのは地方六団体などの地方であるらしい。

    政治家が権力を運用することは3種類に分けられる。地元の面倒→票、正論vs俗論、政局と馴れ合いである。(政治家主導ではなく内閣主導という意味での)政治主導や行革の鍵は、ここにあるのではないか。ちなみに野党議員についてはラバースタンプにすぎないとされるが、ヴィスコシティという意味で影響力がある。

    では、国会の意味は何か。それはアリーナ議会である。争点提示機能や行政府監視機能を持つ。

    2009/02/05

    宇沢(2007)

    宇沢弘文(2007)「社会的共通資本としての医療」日本医師会『「日本の医療の未来像」日医総研創立10周年記念シンポジウム 記録集』3-12ページ。

    「医学が人間の病を癒す学問であるとすれば、経済学は社会の病を癒す学問である」

    Barro (1974)

    Barro, Robert J. (1974) "Are Government Bonds Net Wealth?," Journal of Political Economy, Vol. 82, No. 6 (Nov. - Dec., 1974), pp. 1095-1117.

    Barro論文の特徴は
    • 2期間生存の世代重複モデル。
    • 効用関数は「次世代の最大効用」「若年期の消費」「老年期の消費」で構成。
    • 国債は若年期に購入。
    • 国債は老年期に償却。
    • 賃金から利払い分を徴税。
    • 資産は若年期に購入。
    • 老年期に償還。(老年期唯一の収入)
    • 老年期に次世代への遺産を確保。
    • 生産水準は所与かつ一定。
    • 若年期の賃金と資産の利払いに分配。
    よく理解できないのは、同じrを保有資産と遺産に関しては割引率として、国債に関しては利子率として用いていることである。保有資産は価格(1-r)で購入し、償還時に価格1で戻ってくる。利子はつかない。それに対して、国債はコンソル債であり、毎期rが徴税される。

    導き出されること。
    • 効用最大化条件として純遺産は一定。
    • 純遺産一定より、国債発行によって粗遺産が変動。
    また、Barro (1989)によれば
    • 世代重複モデルは、無限期間生存の代表的個人の生涯効用で代替可能。
    • 純遺産は世代間の所得移転にすぎず、教育など金銭以外でも、またプラスでもマイナスでもよい。
    • 償還がどの世代であっても同じ結果となる。


    邦訳
    http://web.econ.keio.ac.jp/staff/ito/pdf01/barro.pdf

    Barro, Robert J. (1989) "The Ricardian Approach to Budget Deficits," NBER Working Paper No. W2685.

    2009/02/04

    小幡(2008)

    小幡績(2008)『すべての経済はバブルに通じる』光文社。

    第一章 証券化の本質

    証券化の前後で、実際経済での「資産の収益性、将来得られるキャッシュフロー」に関するリスクが、流動性リスクに変質した。いったん、このような変質が起こってしまえば、「自分より高く買ってくれるバカ」がいればいいのであって、原資産なんか、どうだってよくなる。格付け機関だけでも、原資産に基づいた格付けを行えていれば、まだ実体に基づいていた。

    第二章 リスクテイクバブルとは何か

    サブプライムローンのバブルは、「住宅価格が上昇し続けていたから」ということになる。なぜ住宅は上昇し続けたのかは、「サブプライムローンは、定義より、低所得者をマイホーム市場に参入させることになったが、それが、住宅需要を増やした」という事実が背後にある。サブプライムの借り手が破産するなりして、住宅需要が減るようなことになると、バブルを支える住宅価格の上昇がストップしてしまうので、彼らの破産を予防し支援するインセンティブもあった。

    http://www.sugi-shun.com/mt/2009/01/post-32.html
    第3章 リスクテイクバブルのメカニズム

    プロの投資家が、ちまちま運用すれば、「もっと儲けよ、さもなくば解約するぞ」と顧客から言われてしまう状況、過度にリスクをとりに行くインセンティブがあったと推察できる。この問題の背後には、ファンドの顧客とマネージャーの間に、ファンドマネージャーの真の能力をめぐる情報の非対称性があった。

    この情報の非対称性の結果、ファンドマネージャー達は、「リスクを適正評価出来ないリスク」にされされた。もちろん、マーケット全体で見れば、way too much risk takingな状態になる。合成の誤謬。

    第4章 バブルの実態―上海発世界同時株安

    マーケットでは、何が真実かよりも、「みんなが何が真実だと思っているか」ということが重要。

    http://www.sugi-shun.com/mt/2009/01/post-37.html
    (略)
    第8章 キャンサーキャピタリズムの発現―二一世紀型バブルの恐怖
    20世紀型のバブルは、発生メカニズムがなかったが、21世紀型は、発生メカニズムがある、と著者は主張する。リスクテイクバブルは、構造的な市場に組み込まれていたのだ、と。

    http://www.sugi-shun.com/mt/2009/01/post-11.html

    森田(2009)

    森田徹「現役東大生・森田徹の今週も“かしこいフリ”」Business Media 誠、<http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0902/03/news016.html>、2009年02月03日ダウンロード。
    聞けば・読めば分かる派

     好きなことだと意識して勉強したわけでもないのに、自分でも驚くほど頭に入っていることもあるが、興味のない大抵のことは何回繰り返しても忘れる。

    繰り返し聞く派

     一度録音されたものを1.5倍速や2倍速で繰り返し聞くというのはよく聞く勉強法だ。

    色ペンチェック派

     本を読むとき鉛筆で線を引いていくという読書法。色ペンでテキストやレジュメを塗っていくこの方法は、よく目にする。もちろん、場合によっては下敷きで塗った部分を隠す。穴埋め型のテスト形式だと必須の勉強法である。

    らくがき帳派

     きちんとした教科書などを調達してきて、読みながら重要そうなキーワードや概念だけイメージに残りやすいように書き出している。

    宇沢(2005)

    宇沢弘文(2005)「ケインズと『一般理論』」同志社大学社会的共通資本研究センター、ディスカッション・ペーパー<http://www1.doshisha.ac.jp/~rc-socap/publication/9keynes_uzawa.pdf>、2009年2月4日ダウンロード。

    すぐれた知的能力をもち、良好な社会的環境のなかで育ち、一般大衆に比べてはるかに深い知識と正確な判断能力をもつ人々が、イギリス全体の長期的な利益を指向して、政府に対し理性的な診断をおこない、政策のあり方について助言を与えるという賢人の役割を果たしてきたが、イギリスの繁栄は、これらの賢人たちの貢献によるところが大きい。
    ―ハロッド
    経済学に新しい地平をひらき、新しい分析方法をつくり出し、それによって公共政策への手段としての経済学の威信を回復したという意味で、ケインズ経済学はたしかに一つの革命であったといえよう。
    ―シュンペーター
    現代の経済社会について、そのもっとも顕著な欠陥は、完全雇用を実現できないということと、富と所得の分布が恣意的であり、不平等であるということである。『一般理論』は、第一の問題に対する解答を与えようとするものであるが、第二の問題に対しても、つぎの二つの点で重要な関わりをもつ。
    すなわち、富と所得の分布の不平等性については、十九世紀の終わり頃から、その是正をはかるために、西欧社会では大きな進歩がなされてきた。とくに大英帝国では、所得税、付加税、相続税などという直接税の制度を通じて、富と所得の分布の平等化という試みがなされたが、これをさらにいっそう強化することを望んでいる人々も多い。しかし、これに対しては、二つの観点から問題が生ずる。第一には、脱税ないしは節税のためにあまりにも多くの努力が払われ、リスクを、ある程度負担して、新しい経済活動をおこなおうとする意欲を不当に弱めて、そのために資源配分に歪みが生ずるという点である。第二には、資本蓄積の過程に障害を与えるという点である。資本蓄積が主として、高所得者階層の貯蓄に依存しているために、完全雇用ないしはそれに近いところでは問題はないとしても、非自発的失業が大量に存在するときには、貯蓄性向が高く、したがって、消費性向が低くなって、有効需要は逆に小さくなり、所得水準の低下、非自発的失業の増大を惹き起こすということは、『一般理論』の基本的命題の示すところでもある。
    ―ケインズ

    2009/02/02

    澤田(2002)

    澤田康幸(2002)「グローバリゼーションと貧困」『国際経済』

    グローバリゼーションと貧困を軸にして国際経済学・開発経済学を展望する。
    ひとつの軸は、貿易の国際化と金融の国際化。
    もうひとつの軸は、平均所得の伸び悩みと格差の拡大。

    • 貿易、成長・・・タイプA、貿易と経済成長
    • 金融、成長・・・タイプB、投資と経済成長
    • 貿易、格差・・・タイプC、貿易と貧困
    • 金融、格差・・・タイプD、通貨危機

    タイプA
    貿易の開放度と経済成長の関係を回帰分析する。
    ⇒たいていの結論は「正の相関」

    内生的経済成長論
    ⇒技術進歩の内生化
    手法は「人的資本」あるいは「ミクロ的基礎付け」

    政府の役割
    • 市場機能補完型戦略
    • 比較制度分析
    • 可変的な幼稚産業保護
    • 研究や教育による人的資本の蓄積


    タイプB
    証券投資と成長は負の相関、直接投資と成長は正の相関という傾向。
    ⇒空間経済学による理論付け。

    遠心力
    ⇒混雑効果、地価上昇、地理的に分散した形で分布している自然資源やインフラストラクチャーの整備などによる低い輸送費用など

    求心力
    ⇒市場の規模が大きいこと、高い輸送費用の存在、厚い労働市場や中間財生産企業群の存在、「マーシャル的(技術的)外部性」と呼ばれる知識や情報などの波及を通じた外部性

    中心の決定
    ⇒歴史による選択、期待による選択

    タイプA、タイプB⇒ボーモルの三角形

    タイプC
    経済の開放度と貧困削減の速度には正の相関関係。

    必需品たる農作物は、嗜好品たる工業品よりも優先的に消費される。
    ⇒貧困層は工業品を消費できない。

    途上国において
    工業生産性の上昇
    ⇒工業輸出の増加
    ⇒労働力が農業から工業へと移動。
    ⇒農業における限界生産性の上昇。
    ⇒貧困労働者の均衡賃金上昇。

    全体的な賃金上昇は労働移動の自由度が鍵。

    タイプD
    動学的な分析
    ⇒慢性的貧困と一時的貧困の区別

    一時的貧困に対しては事前・事後のリスク対処戦略がとられる。
    • 消費の節約
    • 借金
    • 貯蓄の切り崩し
    • 出稼ぎや副業など家族内の互助


    通貨危機
    ⇒動学的なショックは大きくなかった。
    ⇒家計が直面する借入制約は大きくなった。

    Broda and Weinstein (2004)

    Broda, Christian and David E. Weinstein (2004) "Happy News from the Dismal Science: Reassessing Japanese Fiscal Policy and Sustainability," NBER Working Paper No. 10988.

    • 日本の財政は危機的ではない。市場参加者が正しくそのように認識しているからこそ、国債金利は低い水準で推移している。
    • 既存債務は大したものではないので、インフレによるその実質価値減少には大した意味はない。重要なのはこれから生じる政府債務をどうするかということ。
    • 政府債務の急激な増加は、人口構造のシフトによるもの。シフト期間だけでその負担をすべて賄うよりも、多世代にまたがって少しずつ賄う方が合理的。2012年までにプライマリーバランスをゼロに戻すという日本政府の目標は、現在世代に過大な負担を押付けるものであり不適当。
    • 将来的な国民負担率見込みを考えると、社会保障支出水準などをEU諸国並みにするならEU諸国並みに上昇するであろうし、一人当たりGDP成長率と同程度の伸び率にとどめるのであればほぼ現状どおりで問題ない。

    http://bewaad.sakura.ne.jp/20051010.html

    玄田他(2003)

    玄田有史、照山博司、太田聰一、神林龍、石原真三子、瀬沼雄二、佐々木和裕、阿部健太郎、草嶋隆行、森藤拓(2003)「雇用創出と失業に関する実証研究」『経済分析』第168号。

    (1)「1998年の金融不況以後の雇用悪化の特徴とは?」

    ⇒雇用を支えてきた中小企業やサービス業の停滞深刻
    ⇒従業員の高齢化がすすんだ組織で雇用削減が顕在化

    (2)「社会全体の少子高齢化が失業に与えるインパクトは?」

    ⇒高齢化は失業率の高い若年の割合を引き下げ、失業率の上昇を抑制
    ⇒ホワイトカラーと同時に、ブルーカラーの長期失業が中高年で深刻化

    (3)「今後求められる中高年への雇用対策とは?」

    ⇒再就職のために企業と企業の連携を深める対策を
    ⇒民間再就職支援ビジネスの活用などカウンセリング充実を

    (4)「パートタイムの増加はフルタイムの雇用を奪っているか?」

    ⇒フルタイムを減らす代わりにパートを増やしている事業所は少数派
    ⇒ただしフルタイムが減少するなかでパートタイムの「基幹化」も進む

    (5)「自営業減少の特徴は?」

    ⇒自営女性の廃業に歯止めをかける対策を
    ⇒「失業から開業」は困難化しており期待薄

    (6)「その他、必要な雇用対策全般について」

    ⇒失業対策と同時に非労働力対策を
    ⇒雇用創出・喪失に関する統計整備を

    http://www.esri.go.jp/jp/archive/bun/bun170/bun168.html

    北米経済学Ph. D.事情

    経済学のPh.D.留学に関して。
    経済学部で一番優秀な層
    ⇒東大の院(留学の足掛け)
    ⇒アメリカのトップPhDプログラム

    日銀、政府系金融、外資
    ⇒留学でPhD
    ⇒アメリカで助教授

    成功率(アメリカの上位校に就職できる確率)としては
    院⇒留学よりもかなり高い。

    ただし、なぜか
    官庁(MOFやMETI)⇒留学
    というパターンの成功例は最近はほとんど見かけません。

    http://hongokucho.exblog.jp/8128659/

    2009/02/01

    清水(2007)

    清水真人(2007)『経済財政戦記―官邸主導小泉から安倍へ』日本経済新聞出版社。

    景気対策の財政出動により国債残高累積に陥り、逆に橋本内閣では財政再建に失敗したことからわかるように、経済と財政は原則的に両立させなければならない。橋本行革で制度化された経済財政諮問会議を小泉内閣は行政の意思決定機関として活用する。竹中経財相時代は諮問会議が党と比べて高めの目標を設定する「対立型」の役割であったが、与謝野経財相時代は党政調会に歳出改革を、党税調会長の柳澤伯夫氏に歳入改革を委託する「協調型」の役割を演じるようになる。

    そもそも財政の持続可能性は債務残高の対GDP比を発散させないというドーマー条件が出発点だった。ただし、名目金利と名目成長率の差が、プライマリーバランスの目標を左右する。金利よりも成長率が高ければ歳出削減だけで十分だが、低ければPB黒字化のための増税が必要となる。この政治スタンスによって上げ潮派と財政タカ派に色分けされる。金利と成長率の関係はどちらが主導権を握るのかという点で重要であり、Mankiw (1998) "The Deficit Gamble"の解釈を巡って議論されたこともあった。複数ケースを想定することや、二階経産相が経済成長戦略の策定を主導することで一応の決着をつけた。

    与謝野氏はプライマリーバランスを均衡させるための要対応額と歳出削減額の差を増収措置として考えていた。歳出削減策を中川秀直政調会長にアウトソースし、増税措置額よりも歳出削減額を多くして世論に応えようとした。中川秀直氏は財政再建をするにあたって、歳出削減と増税を7:3の比にすることを目指した。Alesina and Perotti論文によれば、財政再建の成功例は72:28である一方、失敗例は44:56であるからだ。歳入改革については党税調が主導し、諮問会議の民間議員は重要性が低下してしまった。政策決定の説明責任や透明化という諮問会議の役割が低下する一方で、党主導のプロセスで骨太の方針2006が決定された。

    Acemoglu (2009)

    Daron Acemoglu (2009) "The Crisis of 2008: Structural Lessons for and from Economics," CEPR Policy Insight No. 28.
    目下の一時的なGDP損失より、長期的な経済成長鈍化のほうが影響は大きい。それを防ぐためには、イノベーションを促進し、それが可能な産業に資源をふりむけ、そして政治経済環境が既得権益でそれを阻害しないようにすることだ。
    深刻なのは、資本主義への不信で、自由市場を否定する産業国有化などの動きも再発しかねない。そうした動きでイノベーションが阻害され、経済発展が阻害されるのがいちばん怖い。だから経済学者は、イノベーションと経済発展の重要性を、いまの救済措置の段階で強く訴えよう。

    http://ja.daronacemoglu.wikia.com/wiki/「2008年危機」

    Piolat et al. (2005)

    Piolat, A., T. Olive and R. T. Kellogg (2005) "Cognitive effort during note taking," Applied Cognitive Psychology, 19, pp. 291-312.

    pdf

    ノートテイキングは情報の記録だけでなく、
    問題解決や意思決定を促進する効果もある。

    よく理解しようとしながらノートを取ると、情報の保持と関連づけが促進され、
    ノートテイキングそれ自体が学習を促進する。

    http://blog.livedoor.jp/andante_spianato/archives/632934.html

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