2010/03/16

Itoh and Kiyono (1987)

http://www.e.u-tokyo.ac.jp/cirje/research/dp/86/f4/dp.pdf
Welfare Enhancing Export Subsidies

通常の一財モデルにおいて、輸出税と輸入税は経済厚生を低下させる。これは部分均衡分析における税の導入と同様、死荷重が発生するからだ。しかし、多財モデルにおいて、世界的に競争が激しい産業セクターに輸出補助金を付与することは、その財を輸入から輸出に転じることができ、産業促進になるとのこと。

サムスンとかがそうなるんかな。

2010/03/03

Mandel and Semyonov (2006)

Mandel, H., & Semyonov, M., 2006, "A Welfare State Paradox: State Interventions and Women's Employment Opportunities in 22 Countries," American Journal of Sociology, 111(6):1910-1949.
http://d.hatena.ne.jp/jtsutsui/20100303/1267561978
Welfare State Indexというもので福祉国家度を示すようだ。
・北欧型福祉国家は高い女性労働力率を実現
・低福祉介入国家において女性の管理職比率が高い

この女性管理職比率と女性労働力率がパラドックスとなる。

2010/03/01

Prescott (1986)

"Theory Ahead of Business Cycle Measurement." by Edward C. Prescott .

米国実証で(1)資本分配率と労働分配率(64%)はほぼ一定。(2)賃金は大幅に上昇(3)一人当たり余暇はほぼ一定(4)労働時間がGNPをほぼ説明。Hansenのindivisible hour(=ワークシェア不可能)のモデルは4への説明力を改善。

Heathcote, et al. (2008)

Insurance and Opportunities: The Welfare Implications of Rising Wage Dispersion
Jonathan Heathcote , Kjetil Storesletten, and Giovanni L. Violante

ln w=α+ε~N(-V/2,V)でα~N(-A/2,A)は先天的な生産性、ε~N(-E/2,E)は各期に襲いかかるショック。ショックだけを保険する不完全市場、αも保険する完全市場、保険なしのアウタルキーを考察。

コンポーネントプランナーは各期の効用最大化を解けばよくて、不完全市場でln c=(α,ε,E),ln (1-h)=(α,ε,E)の関数が得られる。ここでαは保険不可能なr.v.、εは保険可能なr.v.と考えると、完全市場とアウタルキーは不完全市場の特殊形となる

不完全市場の変数が(α,ε,A,E)だったので完全市場では(0,α+ε,0,V)と置き換え、アウタルキーでは(α+ε,0,V,0)とする。ここで完全市場であっても消費が平準化されるとは限らない。選好が消費と余暇で別々ならば労働の影響を消費が受けないがコブダグラスでは掛け算してる。

カリブレーションして30年間の米国賃金格差拡大は(i)生産性が高い労働者に仕事が集中することで消費水準5%分アップに相当するウェルフェアゲイン(ii)消費と余暇の分散が拡大することで7.5%分のウェルフェアロス。(iii)αが保険できれば(i)の効果がさらに効率化…かな。

Braun and Nakajima (2009)

Optimal monetary policy when asset markets are incomplete
R. Anton Braun
University of Tokyo
Tomoyuki Nakajima
Kyoto University

Braun&NakajimaはMoneyがないぞ!金融政策当局はインフレ率を直接操作するのか。Calvo pricingを仮定しているけれども、どこに関わっているのかは読む時間がない。Braun&Wakiは金利ゼロ制約回避よりもテイラー則に従う長期名目利子率のほうが重要であると。

Braun and Waki (2006)

R. Anton Braun, and Yuichiro Waki (2006)“Monetary Policy during Japan’s Lost Decade", Japanese Economic Review, Vol. 57, No. 2, pp. 324-344.

Braun&WakiはMIU+資本調整コスト+CES型最終財+コブダグラス型中間財+政府の予算制約(シニョレッジ付き)+テイラールール(非負)でゴリゴリ。最後のテイラールールの均衡値を長期名目利子率と定義。計算はエグイので見なかったことにする。

Braun and Korber (2010)

New Keynesian Dynamics in a Low Interest Rate Environment.
R. Anton Braun
University of Tokyo
Lena Mareen Korber
German Institute for Economic Research

貢献は(1)日本(1991-98年のバブル崩壊、1999-2006のゼロ金利)をテストケースとする。(2)Christiano, et al(2009)に考察を加える。マークアップの反応、金融政策が受動的か積極的か(3)価格がバインドするモデルを解く。
どうやらBK論文によれば、Christiano, et al(2009)の乗数4は線形近似の賜物。非線形な関数を近似するとビッグ・ショックに対する政策乗数がダメになる。それから価格の調整コストの形にも左右される。BK論文ではゼロ金利下の乗数が2.6で、4より小さい。