2009/05/31

山口・平尾(2003)

山口良治、平尾誠二(2003)『気づかせて動かす―熱情と理のマネジメント』PHP研究所。

・指導者はひとりひとりを鋭く観察しなければならない。
・指導者は「できる・できない」ではなく、「どう伸ばすか」を考えるべきだ。
・指導者は中心となる人間と一番コミュニケーションを取れ。
・リーダーは媚びない、キレない、意地を張らない。
・自分自身に責任をもつキャプテンがいてこそフォロワーシップがうまれる。
・組織には潤滑油のようにリーダーの意向を伝播する影響力のある人が必要である。
・良いチームが良いリーダーを作り、良いリーダーが良いチームを作る。

・「やらされている」という意識から脱却しない限り成長はできない。
・「自分への気づき」があってはじめて能動的に動けるので、他人任せにしない、させない。
・自己決定が内発的モチベーションを促す。
・「自分を律しよう」と気づいてこそ、個人の力を発揮できる。

・気づかせるためには、ひとりひとりを信じて、それぞれの心に任せなければならない。
・気づかせるためには話し方を工夫したり、明確なイメージを与えたり、褒めたりする。
・気づいた経験がない人間は、他人を気づかせることも難しい。

・自分が得たものを返していこうという気持ちを持つべきだ。スポーツをやりっぱなしにしない。

2009/05/27

Ulrich (1995)

Ulrich, Karl (1995) "The role of product architecture in the manufacturing firm," Research Policy, 24, 419-440.

邦訳

製品アーキテクチャは、製品の構成物と機能との関係を表わす。モジュラー型のアーキテクチャは、機能ごとに製品を分けたとき構成物(コンポーネント)が独立の機能を有している。それに対して、インテグラル型のアーキテクチャは構成物の相互作用による機能も有している。このように製品を分類することで、アーキテクチャとパフォーマンスの関係を議論する。

肝となるのは、モジュラー型ではインターフェースさえ統一すればコンポーネントごとの変化が可能であるということである。一方、インテグラル型ではコンポーネントごとに機能が分離していないので、一部だけを変えることは難しい。インテグラル型は空間と材料を有効利用することには長けている。

Key ideasはTable 1にまとまっている。

2009/05/24

究極の勝利

清宮克幸「究極の勝利 ULTIMATE CRUSH―最強の組織とリーダーシップ論」講談社。

細部は各組織に依存するところも多いだろうが、大筋はたしかに最強の組織として必要だと納得できる。

・非科学的な精神鍛錬と科学的肉体トレーニングを混ぜる。(経験則と理論の折衷)
・できなかったこと自体ではなく、そのような状況を許してしまったことの不作為を責める。
・変化可能がどうかで「完了」「未完了」のケジメをつける。
・朝令暮改よりも軸がブレないことのほうが重要である。軸に照らしてみて正しいと思ったら前言撤回してよい。自分が正しいときは筋を通すのがよい。
・システムによる全体の統制に、アドリブによる個人の判断があってこそ臨機応変の対応ができる。
・全体的な要請は最小限に抑え、個々の自主的な能力構築の時間を大きく確保する。

2009/05/22

pLaTeXにソースコードを貼り付け

RやMatlab/Octaveに対応。

Step 1:pLaTeXのインストール
TeXインストーラ
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~abenori/mycreate/index.html

Step 2:Listingsのダウンロード
listings.zipをクリックしてダウンロード。
http://tug.ctan.org/tex-archive/macros/latex/contrib/listings/
ダウンロードが始まらない場合は、更新ボタンを押す。

Step 3:jlistingのダウンロード
jlisting 本体 ver. 0.2 (bzip2)
http://mytexpert.sourceforge.jp/index.php?Listings

Step 4:TeX以下のフォルダに解凍
インストーラ使用の場合は
C:¥tex¥share¥texmf-local¥tex
にlistingsフォルダを作るらしい。ここに全部解凍。

Step 5:コマンドプロンプトでインストール
コマンドを入力
platex listings.ins
mktexlsr

Step 6:TeXのコードに追加
\usepackage{listings,jlisting}

Step 7:ソースコードの貼り付け
\begin{lstlisting}と\end{lstlisting}でコピペを挟むか、
\lstinputlisting{abc.java}と外部から呼び出すか。

2009/05/21

Krugman (1991)

Krugman, Paul (1991) "History Versus Expectations," QJE.
Fukao, Kyoji and Roland Benabou (1993) "History Versus Expectations: A Comment," QJE.
別所俊一郎氏による邦訳

をとって、これをX産業の雇用量とする。完全雇用の残りはC産業となる。C産業の賃金を1としたときのX産業の相対賃金をで表わそう。収穫逓増なモデルを考えると、C産業が完全雇用するかX産業が完全雇用するかという状態に帰結する。これは、不安定な収束点から発散するものの、端点で押さえられている。その点、初期状態が最終的な状態を決定するので、歴史依存と言える。

一方、将来の収益予想を組み込んで、資産

を設定する。この仮定から連立微分方程式を作る。



ここで線形な賃金関数を考えると、


これらを解くと、特性方程式の解として実数解と虚数解が考えられる。実数解のときは単純に発散するので歴史依存的に終着点がはっきりするが、虚数解のときは渦を巻いて発散する。ここでは、期待が重要となるというわけである。

2009/05/08

Duflo and Pande (2007)

Duflo, Esther and Rohini Pande (2007), "Dams," Quarterly Journal of Economics. May, pp. 601-646.

澤田康幸先生
第6回「インフラは貧困削減に寄与するか? インドにおける大型ダムの効果」

大型プロジェクトの効果を測定するには、Randomizationの手法は使えない。Randomizationでは無作為抽出によって条件を同じにした上で、投薬した患者と投薬しなかった患者の効果を比較する。大型案件では無作為抽出は難しい。

本論文では、大型ダムと貧困削減の因果関係を調べる。相関関係から逆の因果関係を取り除くために、地形的条件という不可逆的要因をひっつける。ダムの建設の裏には地形的条件が必要だが、貧困によって地形的条件が変わることは無い。標本数を大量に用意して、地形的条件をうまく操作すると大型ダムと貧困人口比率の関係が割り出せるのである。

2009/05/03

ハミルトニアン

http://animus.doshisha.ac.jp/hendou/No6final.pdf

制約条件

が与えられたとき、最大化問題

を解く。

ハミルトニアン

を定義してやると、



2009/05/02

IMF (2008)

Antonio Spilimbergo, Steve Symansky, Olivier Blanchard, and Carlo Cottarelli (2008) "Fiscal Policy for the Crisis." http://www.imf.org/external/pubs/ft/spn/2008/spn0801.pdf
himaginaryまとめ
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090105

経済危機に対して
-速やか巨額の対策をすべき。
-持続的あらゆる手段を使うべき。
-政策のコミットメントの明確化で将来への期待を改善すべき。
-各国が協力すべき。
具体的には、全般的な減税や補助金よりは、支出拡大やターゲットを絞った減税・移転支出が効果的である。全面的減税は非効率である。

支出拡大として
-既存の公共事業の前倒し
-維持修繕の拡大
-既に計画中の新事業の実施
があり、短期的には需要に好影響を与え、長期的には供給に好影響を与える。

貧困層にターゲットを絞った減税・移転支出として
-失業給付の対象の拡大
-失業給付の期間の拡大
-移転支出で助ける低所得世帯の対象の拡大
-低所得世帯向けの支出額の拡大
などがあり、即効性のあるセーフティネットとなる。低所得者層は消費性向も高い。ただし、労働に復帰するインセンティブを与えなければならない。




いま日本の補正予算は、お金の使い道に苦心しているらしい。聞くところによると、当局から各省庁に総額が割り振られ、各省庁がそこに使い道を後から決める。計画の前倒しよりは、頑張って思いつきを出しているとかいう中の人の話であった。

市村(2009)

2009年5月1日付け日本経済新聞、経済教室、市村英彦教授。

・2009年の新統計法の成立で統計データが開放される予定。
・ルーカス批判を受けて、構造推定アプローチと自然実験アプローチが対抗手段となっている。
・前者ではミクロの最適化問題まで遡り、パネルなどを活用してパラメータを推定する。
・後者では大きな社会変動ショックの前後でデータがどのように変わったか推定する。
・データの開放はアプローチの発展を活用する機会だが、人材不足が懸案である。