2009/09/22

Melitz (2003)

Marc Melitz. 2003. “The Impact of Trade on Intra-Industry Reallocations and Aggregate Industry Productivity.” Econometrica v. 71 no. 6, pp. 1695-1725.

CES型効用関数と収穫逓増に加えて、企業における技術のバラツキと参入退出を仮定した超重要モデル。

国際経済学に関して以下の事実を説明した。
企業の異質性としては、次のようにまとめられている。
事実1:輸出企業は企業全体から見ればごく一部である。
事実2:輸出企業は非輸出企業よりも規模が大きく生産性が高い。

貿易自由化による影響は、次のようにまとめられている。
事実3;大規模で生産性が高い企業が輸出によって生産を拡大する。
事実4:小規模で生産性が低い企業は市場から撤退している。
事実5:セクターレベルの生産性は向上している。

てって研究所企業の生産性の異質性と貿易

2009/09/21

Conger (1998)

Jay A. Conger (1998) "The Necessary Art of Persuasion," HBR.

説得のステップ
(1)信頼を確立する。
(2)相手と見解が一致するところに目標を設定する。
(3)わかりやすい言葉と事実に基づき、そのような見解に至った論拠を明らかにする。
(4)聞き手と感情的に繋がる。

失敗する説得
(1)自分の意見をゴリ押しする
(2)妥協を拒む
(3)説得の秘訣は優れた議論を展開することと誤解する
(4)説得は一回すれば十分と考える

Manzoni and Barsoux (1998)

Jean-Francois Manzoni and Jean-Louis Barsoux (1998) "The Set-Up-To-Fail Syndrome," HBR.

上司による自主性の剥奪・過小評価と部下自身の自信喪失・受動的行動が負のスパイラルをなすことがある。能力の無い部下に任せられないと思って、上司が部下のやることを全部決めていると、部下は信頼されていないと思うとともに、自分の能力を疑って自発的な行動をとらなくなる。

仲裁をするためには、
(1)上司は議論のための適切な環境作りをすべきである
(2)仲裁を意見一致までのプロセスとして利用すべきである
(3)低調な業績の原因が何かについて共通の理解に至るべきである
(4)業務目標と今後の関係を発展させるための互いの考えを合意させる
(5)上司と部下は将来もっとざっくばらんに話し合うことで合意する
が必要だが、必ずしも仲裁が最善の解決策とは限らない。

したがって、予防が最重要であって、
上司は上述のような異変の存在に気づき、自分がその問題の一部である可能性を認め、
明確に、問題に的を絞った仲裁の労をとることが必要である。

Livingston (1982)

J. Sterling Livingston (1982) "Pygmalion in Management," HBR.

ピグマリオン効果は次のような事実でまとめられているらしい。
(1)マネジャーが部下に何を期待し、またどのような扱い方をするかによって、部下の業績と将来どれだけ昇進できるかはほとんど決まってしまう。
(2)優れたマネジャーの特質とは、高い業績を達成できるという期待感を部下に持たせる能力のことである。
(3)無力なマネジャーはこうした期待感を持たせることができず、その結果、部下の生産性も向上しない。
(4)部下は、自分に期待されていると感じていることしかやらない傾向が強い。

Goffee and Jones (1996)

Robert Goffee and Gareth Jones (1996) "What Holds the Modern Company Together?," HBR.

交流と結束を評価軸にして企業文化を四つの型に分類する。
ネットワーク型は交流は多いが、結束は弱い。
共同体型は交流は多く、結束は強い。
分裂型は交流が少なく、結束は弱い。
傭兵型は交流は少なく、結束が強い。

それぞれの企業文化の型は成功の鍵のひとつとなる。

2009/09/19

Takeuchi and Nonaka (1986)

Hirotaka Takeuchi, Ikujiro Nonaka (1986) "New New Product Development Game," HBR.

日本企業(富士ゼロックス、キヤノン、ホンダ、日本電気、エプソン、ブラザー)と米国企業(3M, Xerox, IBM, Hewlett-Packard)の事例を示した上で、新製品開発の業務の進め方はリレー形式よりはラグビー形式が望ましいと論じている。つまり、

(a)トップは大まかな挑戦的目標をプロジェクトチームに丸投げし、
(b)そのチームにおいては、自分で決められる自律性、限界を超えての挑戦魂、異分野共同の特徴があり、
(c)時系列的な仕事をリレー的に引き継ぐのではなく、オーバーラップした引継ぎ期間を設けており、
(d)各階層各部門での学習があり、
(e)創造性を殺さずに自発性を重んずる管理があり、
(f)ひとつのプロジェクトにおける学習成果は他のプロジェクトに伝達される

という特徴があるというのだ。

スクラムの元になった資料 - [ハーバードビジネスレビュー] New New Product Development Game

2009/09/12

Jensen and Miller (2008)

Jensen, Robert T., and Nolan H. Miller. 2008. "Giffen Behavior and Subsistence Consumption." American Economic Review, 98(4): 1553–77.

ギッフェン財をはじめて実証したかもしれない論文とされる。消費モデルとしては栄養に着目する。パンは低予算で高カロリーを得たい。食肉は美味しいので食べたいが、支出に対するカロリーはできるだけ抑えたい。こうした2財をベーシック財とファンシー財と呼ぶ。

このとき、貧困者がパンの価格高騰に直面したことを考えよう。このとき、食肉の消費を増やしたいかもしれないが、カロリーが減ってしまうので増やすことができない。ゆえに、パンの消費を増やすことになる。

こうした観点から中国の貧困層を狙って社会実験をした。湖南ではコメがギッフェン財的であり、甘粛ではコムギがややギッフェン的である、という結果が得られたようである。

2009/09/05

Dixit and Stiglitz (1977)

Monopolistic Competition and Optimum Product Diversity
Avinash K. Dixit; Joseph E. Stiglitz
The American Economic Review, Vol. 67, No. 3. (Jun., 1977), pp. 297-308.

規模の経済が働いているとき、色々と仮定を置かないと単純化できない。第一に、完全競争では赤字となるので、結局は独占競争プライシングとすべきである。第二に、一財の集中消費よりは多財のバラエティ消費のほうが満足できるはずなので、無差別曲線は凸性を持っていなければならない。

CES関数は色々と便利な性質を持つ。最適解は所得に比例するので、所得分布がどんな形であっても集積することができる。代替の弾力性がセクター毎に異なると、いずれかのセクターを集中消費する複数均衡が生まれる。