大野耐一(1978)『トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして』ダイヤモンド社。
古きよきトヨタが生産性向上を達成したのがよくわかる。かつてアメ車の向上の生産性は日本の9倍だったらしい。そこでトヨタは人間の能力をフル回転させることにした。待ち時間とか不良製品とか在庫管理とか労使ともに不幸な要素を徹底的に吐き出すのがトヨタ式である。小生が着目するのは、熟練労働をマニュアル化することで、非熟練工にも多能工として働けるようになることである。待ち時間も不良製品も在庫管理もゼロにしてしまえばそれ以上の改善は見込めない。ただ、労働生産性は上げ続けることができるはずである。そのためには生産財の発展のみならず、工員のノウハウ蓄積が不可欠と思われる。マニュアルを作ることによって、ノウハウ伝達のコストが大幅に下がったのではないかと推測している。これによって、過去の先端が現在で常識になるのである。
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