Bliss, C. and R. DiTella (1997), "Does Competition Kill Corruption?", Journal of Political Economy, 105: 1001-1023.
ECONOCLASMからQuote.
競争促進が腐敗を無くすとは限らないんだよという事を示した論文。企業数の増減という意味での競争を内生化してるのが特徴。
以下のような状況を想定する。固定費用(生産量と無関係にかかる費用)だけ異なる複数の企業が同一の商品を生産。粗利益(=売上額-固定費を含まない生産費用)は各企業で同一。営業利益(=売上額-固定費を含めた生産費用)は企業数が増えると減少する。営業利益がマイナスなら生産を止める。各企業は1人の腐敗官僚の管轄下にある。腐敗官僚は、各企業の固定費用の確率分布と管轄下の企業の営業利益を知っていて、その企業から幾ら賄賂を要求するか決める。それに対し、企業は賄賂を払うか生産を止めるかを決める。
導かれる結果は、[1]既に生産をしている企業間の競争が激しくなり営業利益が減ると、企業数は減少するが、官僚の要求する賄賂額は増えたり減ったりする。[2]企業間の固定費用の差が小さくなり新規参入が容易になると、企業数も賄賂額もどうなるかわからない。[3]固定費用が増加し新規参入が困難になると、企業数も賄賂額も減少する。
社会厚生を考えると、固定費用がある場合は自由競争の結果が望ましいとは限らないから、官僚が賄賂を要求することで企業数が減り、社会厚生が増加する可能性はある。
unquote. 官僚汚職は馴染みがないのでわからないが、寡占化が必ずしも社会厚生を引き下げないのはよくわかる。公取がアホみたいに規制すると日本は世界から取り残されるぞ。
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