Corruption
Andrei Shleifer and Robert W. Vishny
The Quarterly Journal of Economics, Vol. 108, No. 3 (Aug., 1993), pp. 599-617
(article consists of 19 pages)
Published by: The MIT Press
ECONOCLASMからレビューを拝借。タイトルそのまんま汚職について。Quote
学部ミクロで習う単純な独占モデルを応用。腐敗官僚を、公共サービス(パスポート発行など。途上国経済の文脈なら輸入許可や外貨割当など)を供給する独占企業になぞらえる。独占企業は、限界費用(一単位追加生産するのにかかる費用)と限界収入(一単位追加生産することで得られる売上)が一致するような生産量を選ぶが、そのような生産量の時に消費者が払う価格から限界費用額を引いた分を賄賂と見なす。
途上国企業が新規投資するには様々な政府の許可が必要であることが多い。それぞれの許可は補完財(コーヒーとミルクの関係)になっている。(コーヒーと紅茶のような関係は代替財。)その一つ一つの許可を一つの官庁が一括して管轄している場合(A)と、別々の官庁が一つずつ管轄している場合(B)と、複数の官庁がそれぞれ全ての許可を管轄している場合(C)とで、corruptionのもたらす影響が異なる。
Aの場合、官庁は、賄賂額を少し減らすことでその許可証の需要が増えると補完財である他の許可証の需要も増えることを考慮して賄賂収入を最大化する。結果、限界費用=限界収入となる許可証発行量よりは大目に発行して、賄賂額は少なめになる。
Bの場合、許可証の補完関係を考慮せずに賄賂収入を最大化するので、限界費用=限界収入となる許可証発行量が選ばれ、賄賂額はAを上回る。
Cの場合、各官庁が競争することになるから、どの官庁も賄賂額をどんどん減らしていかざるを得ず、結果として賄賂額はゼロになる。(寡占モデルとして学部ミクロで習うベルトラント競争の状態。)
Aはソ連やマルコス時代のフィリピン。Bはソ連崩壊後のロシアやアフリカ諸国。厚生損失はBが一番大きい。
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