2010/01/31

Jaimovich and Siu (2009)

Nir Jaimovich & Henry E. Siu, 2009. "The Young, the Old, and the Restless: Demographics and Business Cycle Volatility," American Economic Review, American Economic Association, vol. 99(3), pages 804-26, June.
http://unrepresentativeagent.blogspot.com/2010/01/demography-life-cycle-and-business.html

特に、若い労働者(彼らの分類では15-29歳)と、退職間近の労働者(60-64歳)の平均労働時間は景気に大きく影響される一方、中間の労働者(30-59歳)の平均労働時間は比較的景気に影響を受けない。(中略)OECD諸国の平均では、30歳以下のグループは、労働力の30%しか占めていないけれども、総労働力の振れvolatilityの50%を生み出している。(中略)日本の景気変動の大きさが1990年代に上昇した一因は、60代の労働者の割合が増加したものだ。

あくまでイメージとして、付加価値は20代後半と30代が稼ぎ出し、40代50代がそれら稼ぎ頭を管理しているというイメージを持っている。そして、不思議なのはセイの法則と有効需要の原理の関係で、潜在的需要を狙って労働時間を増やせば景気が回復するということになるのか、あるいは景気悪化によって需要が減退することによって賃金削減策として労働時間が減ってしまうのかよくわからないのだ。いずれにしても労働時間と国内総生産は負の相関となるが、この相関関係における因果関係がどちらの向きなのかわからないのである。供給が需要を決めるというのは貨幣を前提にした話であって、需要を供給を決めるというのは生産制約がないことを前提にした話ということになるだろう。セイの法則は、供給の背景として金銭を得てモノを得たいという欲求の二重の一致機能としての金銭を媒介に、市場経済が需給を一致させる価格を決定すると説明される。これが労働市場においてはどうなるのかと言えば、よくわからないのだ。ヒトとモノは性質が違うからね。

Pastor and Veronesi (2009)

the American Economic Review: Vol.99, No.4 Sep. 2009
Title:”Technological Revolutions and Stock Prices
Auther: L. Pastor, P.Veronesi
http://www.shiromage.com/?p=129
著者らは、1830-1861:の鉄道バブル、1992-2005:のITバブル時のデータを用い、「新しい技術の生産性がわからないまま投資した結果、不確実性がなくなるにつれてリスクが露呈し、バブル崩壊」というプロセス仮説の妥当性を研究した。つまり、投資家がみな「わからないまま必死に投資」し、その結果「過剰なことがわかって一気に引き上げた」ことがバブルの原因かどうかを調べた。
 結論としては、残念ながらこの仮説は正しくなかった。多くの投資家にとって、新しい技術はすぐには浸透せず「初めのうちはまともに投資されない」ことがわかった。(例えば1880年頃に登場した電気は、1920年頃まで、まともに浸透・活用されることはなかった)これらの時期にては、むしろ投資家はその新技術の価値に対しての「学習」を行うためのみに投資行動を行うので、この時期の「早すぎる加熱」がバブルを引き起こすというこの仮説は残念ながら棄却されることになった。

んー。バブルは産業構造変化と大いに関係している気がしてならないのだ。いや、バブル崩壊がバランスシート不況を引き起こして産業構造変化を止めるのかもしれない。キヨタキムーアとゾンビーレンディングと併せて読んでみたい。

Mankiw and Weil (1989)

Mankiw, N. Gregory & Weil, David N., 1989. "The baby boom, the baby bust, and the housing market," Regional Science and Urban Economics, Elsevier, vol. 19(2), pages 235-258, May.
http://unrepresentativeagent.blogspot.com/2010/01/baby-boom-and-baby-bust.html

人口構成と住宅市場の分析らしい。

2010/01/30

Feyrer (2009)

Distance, Trade, and Income – The 1967 to 1975 Closing of the Suez Canal as a Natural Experiment
James Feyrer
NBER Working Paper No. 15557*
Issued in December 2009

関連voxeu.org
The 1967-75 Suez Canal closure: Lessons for trade and the trade-income link

1967年から1975年まで中東戦争によりスエズ運河が閉じていたらしく、これによって変化が生じる二国間の距離を操作変数として国際貿易の重力モデルから係数を出しているようだ。

2010/01/29

Murphy, Shleifer, and Vishny (1992)

Murphy, Kevin M and Shleifer, Andrei and Vishny, Robert W, 1992. "The Transition to a Market Economy: Pitfalls of Partial Reform," The Quarterly Journal of Economics, MIT Press, vol. 107(3), pages 889-906, August.

ECONOCLASMからQuote.

以下のようなpartial reformの状況を考える。念頭にあるのはロシア。原材料生産が政府の計画によって決められている(自由化した場合より過小な生産量)。国営企業は政府によって決められた価格でこの原材料を買わねばならない。ここで、経済改革によって、この原材料を投入財とする製造業に民間参入が認められるとする。民間企業は原材料購入価格を自由に決められる。すると、民間企業は、国営企業が払う価格よりも少しだけ高い価格で原材料を購入し、原材料のほとんどが民間企業に配分され、国営企業は原材料不足に直面する。

しかも、民間が参入する製造業は、原材料需要の価格弾力性が高い業種。なぜなら、価格弾力性が高いということは、固定資本が必要ではなく、複数の投入財を同時に使わなくてもいいということであり、参入しやすい業種であるから。したがって、経済改革による社会厚生の損失は、非常に大きい。(需要の価格弾力性の高いセクターで取引量が増え、低いセクターで取引量が減るから)

しかし、もし経済改革後も、原材料需要の価格弾力性が低い業種への原材料供給を政府の計画通りに行えば、社会厚生水準は低くならず、弾力性の高い業種に参入した民間企業が原材料を買って市場が拡大する分だけ、厚生は上がる。これが、中国と旧ソ連の違いだ、というのがShleiferたちの主張。

Unquote. この三人組は複数均衡のビッグプッシュ論文だけだと思っていた。この論文の社会主義から自由主義への移行に際して方法を間違えると国富が落ちることを示しているという点、日本の構造改革も方法次第では国富が落ち込むということが考えられる。たとえば、既得権益を破壊しても成長産業を作らなければリソースが余ってしまう。

Glaeser and Shleifer (1998)

Glaeser, Edward L. & Shleifer, Andrei, 2001. "Not-for-profit entrepreneurs," Journal of Public Economics, Elsevier, vol. 81(1), pages 99-115, July.

ECONOCLASMからQuote.

起業家が営利企業ではなく非営利組織を立ち上げる理由は何か?

仮定は、(1)非営利組織の場合、収入は従業員の職場環境改善などに使われるので、同じ額の収入が起業家に与える満足度は、非営利組織の方が低い。(2)消費者との売買契約を結んだ後に、利潤追求のための費用削減努力をすると製品・サービスの質が低下する。(3)そのような質の低下を契約違反だとして消費者が裁判所に訴えても、立証することができない。

すると、仮定(1)より、非営利組織の方が、費用削減による利潤増加がもたらす満足度が小さいので、製品・サービスの質は、営利企業に比べて高くなる。したがって、消費者の製品・サービスの質に対するこだわりが強いほど、質の高さに多くのお金を払って購入してくれるので、非営利組織として活動する方が起業家の満足度が高くなる。

非営利組織の方が課税額が小さいとか、利他主義だから非営利組織を作るとか、そういう要因がなくても、非営利組織が存在しうるというのがポイント。

unquote. 起業については面白いけれども、起業家がNPOをやっている印象がない。社会起業家って最近の流行だと思ったんだけど、12年前からあったのかしら。

Bliss and Di Tella (1997)

Bliss, C. and R. DiTella (1997), "Does Competition Kill Corruption?", Journal of Political Economy, 105: 1001-1023.

ECONOCLASMからQuote.

競争促進が腐敗を無くすとは限らないんだよという事を示した論文。企業数の増減という意味での競争を内生化してるのが特徴。

以下のような状況を想定する。固定費用(生産量と無関係にかかる費用)だけ異なる複数の企業が同一の商品を生産。粗利益(=売上額-固定費を含まない生産費用)は各企業で同一。営業利益(=売上額-固定費を含めた生産費用)は企業数が増えると減少する。営業利益がマイナスなら生産を止める。各企業は1人の腐敗官僚の管轄下にある。腐敗官僚は、各企業の固定費用の確率分布と管轄下の企業の営業利益を知っていて、その企業から幾ら賄賂を要求するか決める。それに対し、企業は賄賂を払うか生産を止めるかを決める。

導かれる結果は、[1]既に生産をしている企業間の競争が激しくなり営業利益が減ると、企業数は減少するが、官僚の要求する賄賂額は増えたり減ったりする。[2]企業間の固定費用の差が小さくなり新規参入が容易になると、企業数も賄賂額もどうなるかわからない。[3]固定費用が増加し新規参入が困難になると、企業数も賄賂額も減少する。

社会厚生を考えると、固定費用がある場合は自由競争の結果が望ましいとは限らないから、官僚が賄賂を要求することで企業数が減り、社会厚生が増加する可能性はある。

unquote. 官僚汚職は馴染みがないのでわからないが、寡占化が必ずしも社会厚生を引き下げないのはよくわかる。公取がアホみたいに規制すると日本は世界から取り残されるぞ。

Ades and Di Tella (1997)

Ades, Alberto & Di Tella, Rafael, 1997. "National Champions and Corruption: Some Unpleasant Interventionist Arithmetic," Economic Journal, Royal Economic Society, vol. 107(443), pages 1023-42, July.

再びECONOCLASMからQuote.

投資促進を目的とした産業政策は、同時に腐敗を増加させ、腐敗は投資を阻害するから、産業政策の投資水準に与える影響はプラスとは限らない。それをcross-section(国別)データによる実証で確かめようという論文。

まず、腐敗が産業政策にどう影響されるかを調べる。産業政策の指標は、補助金額の対GDP比以外に、政府調達先が海外企業に開かれてる度合や財政措置が各企業に平等である度合を利用する。

腐敗水準が産業政策に影響するという逆のcausalityも考えられるので、(賄賂収入を増やすために規制を増やすetc.)産業政策の度合に相関するが腐敗水準には相関しない指標を探して、二段階最小二乗法を使う必要がある。そこで、隣接国の産業政策の度合の平均や貿易相手国の産業政策度の平均(輸入額シェアでウェイト付け)を利用する。ロジックは、隣接国や貿易相手国が産業政策を推し進めるほど、自国も対抗して産業政策を促進するが、外国の産業政策は自国の腐敗水準に影響しない、というもの。すると産業政策促進は腐敗水準を高めるという結果が出る。

次に、投資水準が産業政策と腐敗水準にどう影響されるかを調べる。予想通り、産業政策はプラスに、腐敗水準はマイナスに働く。(逆のcausalityがここでは考慮されてない。それを考慮して実証したMauro(1995QJE)は腐敗が投資を減らすという結果を出してる。)先に求めた産業政策が腐敗水準に与える影響を考慮すると、産業政策の投資水準に与えるプラスの影響は2割から3割に減少する。

unquote.開発経済学における腐敗研究はレビューがあった。

Shleifer and Vishny (1993)

Corruption
Andrei Shleifer and Robert W. Vishny
The Quarterly Journal of Economics, Vol. 108, No. 3 (Aug., 1993), pp. 599-617
(article consists of 19 pages)
Published by: The MIT Press

ECONOCLASMからレビューを拝借。タイトルそのまんま汚職について。Quote

学部ミクロで習う単純な独占モデルを応用。腐敗官僚を、公共サービス(パスポート発行など。途上国経済の文脈なら輸入許可や外貨割当など)を供給する独占企業になぞらえる。独占企業は、限界費用(一単位追加生産するのにかかる費用)と限界収入(一単位追加生産することで得られる売上)が一致するような生産量を選ぶが、そのような生産量の時に消費者が払う価格から限界費用額を引いた分を賄賂と見なす。

途上国企業が新規投資するには様々な政府の許可が必要であることが多い。それぞれの許可は補完財(コーヒーとミルクの関係)になっている。(コーヒーと紅茶のような関係は代替財。)その一つ一つの許可を一つの官庁が一括して管轄している場合(A)と、別々の官庁が一つずつ管轄している場合(B)と、複数の官庁がそれぞれ全ての許可を管轄している場合(C)とで、corruptionのもたらす影響が異なる。

Aの場合、官庁は、賄賂額を少し減らすことでその許可証の需要が増えると補完財である他の許可証の需要も増えることを考慮して賄賂収入を最大化する。結果、限界費用=限界収入となる許可証発行量よりは大目に発行して、賄賂額は少なめになる。

Bの場合、許可証の補完関係を考慮せずに賄賂収入を最大化するので、限界費用=限界収入となる許可証発行量が選ばれ、賄賂額はAを上回る。

Cの場合、各官庁が競争することになるから、どの官庁も賄賂額をどんどん減らしていかざるを得ず、結果として賄賂額はゼロになる。(寡占モデルとして学部ミクロで習うベルトラント競争の状態。)

Aはソ連やマルコス時代のフィリピン。Bはソ連崩壊後のロシアやアフリカ諸国。厚生損失はBが一番大きい。

unquote

Uzawa (2010)

Global Warming, Proportional Carbon Taxes, and International Fund for Atmospheric Stabilization
H.Uzawa
Review of Development Economics,14(1),1–19,2010
DOI:10.1111/j.1467-9361.2009.00528.x

この論文は宇沢弘文先生の最新論文ということになるけれども、ご自身の主張されている「炭素税」をご自身の専門である数理経済学でモデル化なさっている。つまり、炭素税によって二酸化炭素の循環がサステナブルになるのだといった内容。小生は地球温暖化を太陽活動を原因とした長期循環とみなしているので、どうでもいい話ではあるが。

2010/01/21

Mookherjee and Png (1995)

あかん・・・完全にコピペや。
Corruptible Law Enforcers: How Should They Be Compensated?
Dilip Mookherjee and I. P. L. Png
The Economic Journal, Vol. 105, No. 428 (Jan., 1995), pp. 145-159
(article consists of 15 pages)
Published by: Blackwell Publishing for the Royal Economic Society
>汚染物質を廃棄した企業は廃棄量に比例した罰金を払うという環境規制。でも廃棄量を規制当局が直接知ることはできないので、監査官に調査させる。廃棄量を少なくするための費用は企業が負担。もちろん、廃棄量が多いほど社会的にはマイナス。

まず、企業は廃棄量を決定し、同時に監査官は調査をどれだけ懸命にやるかを決める。その結果、
[1]監査官が廃棄量を知ることができなかった場合、企業は廃棄量の分だけ費用負担が軽くなり、監査官は努力した分だけ損する。
[2]監査官が廃棄量を知ることができた場合、企業と監査官は、(1)正直に廃棄量を報告する、または、(2)談合して規制当局に廃棄量を少なく報告し、企業が監査官に賄賂を渡す、のどちらかを選ぶ。
(1)の場合、企業は当局へ廃棄量に比例する罰金を払い、監査官は廃棄量に比例する報酬をもらう。(2)の場合、談合が規制当局にばれる可能性(第三者による真の廃棄量の報告)があり、(i)ばれた場合は、企業は談合により浮いた罰金額に何割か上乗せした罰金を払い、監査官は実際の廃棄量と報告した廃棄量の差に比例する罰金を払う。(ii)ばれずに済んだ場合は、企業は嘘の廃棄量に比例する罰金額を当局に、賄賂を監査官に払い、監査官は嘘の廃棄量に比例する報酬を当局から、賄賂を企業からもらう。

以上は完備情報動学ゲームになっているので、部分ゲーム完全均衡を求める。

当局の定める罰金額と報酬額に依存して均衡は変化するのだが、
(命題1)腐敗に手を染める方が企業と監査官にとって得な場合、罰金額を増やすと、監査官の努力水準が下がり、廃棄量は減るかどうかわからない。監査官への報酬額を増やすと、監査官の努力水準がどうなるかわからないが、廃棄量は必ず減る。
(命題2)腐敗するのが企業と監査官にとって得じゃなくなるように罰金と報酬を設定し、社会厚生を増加させることができる。

ただし、監査官が「廃棄量がわからない」と報告した場合にも、監査官が嘘ついてるかもしれないから、第三者による真の廃棄量の報告があれば罰金を科すことにすると腐敗を根絶することが必ずしも社会厚生の増加に繋がらなくなる。

Okada (2001)

http://web.econ.keio.ac.jp/staff/takakofg/okada.pdf
この論文はmimeoに相当すると思うが、
Social Development Promoted by Cooperation: A Simple Game Model
というタイトルで、
This paper presents a simple game theoretic model of development with population growth, based on the idea that the engine of development is cooperation organized by self-interested individuals...
とのこと。

ちょっと雑感をメモ。この論文がsimpleなのかといえば一見してそうではないとわかるが、人口成長とゲーム理論を結びつけるのなら、繰り返しゲームの割引率を人口成長と結びつけたりするのはどうだろうか、と提案してみたりするふり。たとえば人口成長大=割引率低=現在協力のインセンティブ大、人口縮小=割引率高=裏切りのインセンティブ大、みたいな。したがって、馴れ合いがうまくいっていた日本経済は停滞に差し掛かって馴れ合いが機能しなくなったのだ、と主張してみたり。ま、こんなモデルだったら、東スポにも載らねえよな。

Laffont and Meleu (2001)

引用ルールの違反だとわかりつつも、元記事リンクがめんどくさくなってきた。コピペではなく自分の文章じゃないと駄目というのも著作権法はウルサそうだが、記事下にあるECONOCLASMというラベルにすべて押し込めて、コピペで済ませてしまおう。
Separation of powers and development
Authors: Laffont J.-J.; Meleu M.
Source: Journal of Development Economics, Volume 64, Number 1, February 2001 , pp. 129-145(17)
Publisher: Elsevier
>公共財を生産する独占企業と規制当局がいて、規制当局はこの公共財生産企業の生産費用を補填する。企業の生産技術の効率性を規制当局は知らないという典型的な逆選択モデル。効率的な企業は情報レントと呼ばれる超過利潤を得ることが出来る。

ここまでは契約理論の教科書に出てくる普通のお話。

ここで情報の非対称性を緩和するために監査官を導入する。監査官は企業の本当の生産効率性を一定の確率で知ることができる。この確率の大きさが監査技術の水準。しかしこの監査官は本当の効率性を知ってもそれを規制当局に対し隠すことで、
効率的な企業の情報レントを着服することができる。(交渉力原理によって企業の取り分はゼロになる。)これを防ぐために規制当局は監査官に一定額の報酬を与える。報酬額が大きいほど社会的厚生は下がる。報酬の財源としての徴税は厚生損失を生じさせるから。

ここまではLaffont and N'Guessan(1999JDE)とほぼ同じ。

ここで監査官を二人にする(権力分離)。すると互いに牽制し合うので、腐敗防止のために必要な報酬額が監査官一人のときより少なくて済む。故に、権力分離によって社会厚生は増加する。

この権力分離による社会厚生の増加幅が途上国の方が大きいというのがLaffont and Meleu(2001JDE)の第一の結論。ここで途上国とは、
i)徴税による厚生損失が大きい
ii)生産技術が効率的であるか否かのギャップが大きい
iii)腐敗の取引費用(監査官の倫理感、腐敗摘発の厳しさなど)が低い
iv)監査技術の水準が低い

しかし二人の監査官が協力して二人とも嘘をつく可能性がある。このことと、監査官を雇うのに必要な費用を考慮に入れると、権力分離の実行コストは途上国の方が大きいという第二の結論が出てくる。

つまり、途上国では権力分離が望ましいとは限らないのだ。

TOEFL Writing

ECONOCLASMから。
http://www.howtoeigo.net/twe.html

TOEFLライティング・セクション
1、利用状況
2、問題構成
3、概要
4、対策 ネイティブにきくTWE満点答案
5、まとめ

Narayan and Pritchett (1997)

Narayan, D. and L. Pritchett (1997): “Cents and Sociability:
Household Income and Social Capital in Rural Tanzania” World
Bank working paper
http://www2.diary.ne.jp/user/70831/
ソーシャル・キャピタル調査の概要
http://e-lib.lib.musashi.ac.jp/2006/Elib/S6/007/004.html
タンザニアの農村で、各個人が参加しているこういうグループの数の村平均値が高いと、農薬や肥料を使って農作業をする確率が高くなり、結果として各家計の消費水準が高くなる、ということ。これは明らかに見ず知らずの人への信頼でもないし、長期的人間関係による協力とも違う。

Laffont and N'Guessan(1999)

http://www2.diary.ne.jp/user/70831/
どうやってリンクを貼ればいいのかわからないのだが、元記事はさるさる日記のトップで検索をすれば辿りつく。こういった埋没した記事を掘り起こして、内容をメモしていく。そうすることで、このブログでキーワード検索すれば、気になるトピックをズラリと表示できるのではないか、という試み。

Competition and corruption in an agency relationship
Authors: Laffont J.-J.1; N'Guessan T.
Source: Journal of Development Economics, Volume 60, Number 2, December 1999 , pp. 271-295(25)
Publisher: Elsevier

要旨は、経済環境が競争的になると官僚汚職が増えるというもの。

Varian (1997)

How to Build an Economic Model in Your Spare Time
Journal article by Hal R. Varian; American Economist, Vol. 41, 1997
http://people.ischool.berkeley.edu/~hal/Papers/how.pdf

http://www2.diary.ne.jp/search.cgi?user=70831&cmd=show&num=2001122521009355106&log=2007210609&word=Giving%20a%20seminar

Introduction では結論とその重要性を手短に話して、さっさと本題に入れ。どうせ聞き手が覚えているのは最初の20分だけだから。メインの結論の説明を具体的にわかりやすくすることで、聞き手の信頼を勝ち取れ。

発表中に質問された時、答えられる質問ならすぐ答える。答えられない質問なら、「いい質問だ。セミナーの最後に答えます」と言って逃げる。そうすることで、聞き手の信頼を維持する。すると、より複雑な内容に話題が移っても、聞き手は信頼してくれているので、何を言っても信じてくれる。

最後に、conclusion として聞き手に覚えて帰って欲しいことを繰り返す。

他にも単純なモデルから研究を始めるべし、とか書いているらしい。

2010/01/18

Inada (1963)

Inada, Ken-Ichi 1963. "On a Two-Sector Model of Economic Growth: Comments and a Generalization," The Review of Economic Studies, 30(2): 119-127

いまさらながら数理経済学における日本人の貢献を認識。
wikipediaによれば、

The six conditions are:

i)the value of the function at 0 is 0,
ii)the function is continuously differentiable,
iii)the function is strictly increasing in x,
iv)the derivative of the function is decreasing (thus the function is concave),
v)the limit of the derivative towards 0 is positive infinity,
vi)the limit of the derivative towards positive infinity is 0.

最適解の十分条件であるTVCを満たすような最適解候補を選ぶ際に、Inada条件を使うということなのだろう。うん。いまInada条件の(vi)が欠けている状態でTVCを満足するように選べなくて困っている。

2010/01/17

Kamihigashi (2002)

http://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=269835


日本語訳
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/academic/ra/dp/Japanese/dpJ45.pdf

今さらながらTVCについて確認。割引率と効用関数の一階微分はわかるのだが、資本を掛ける理由がわからないのだ。

2010/01/10

Kiyotaki-Moore

Kiyotaki-Moore ModelのDynare codeを検索したら簡単に見つかった。

当該論文のfig 3.と同じ図を導いている。
http://www.dynare.org/phpBB3/viewtopic.php?f=2&t=2238

追記。matlabコードも見つかった。
http://ideas.repec.org/c/dge/qmrbcd/113.html

Krueger et al. (2010)

Dirk Krueger & Fabrizio Perri & Luigi Pistaferri & Giovanni L. Violante, 2010. "Cross Sectional Facts for Macroeconomists," Review of Economic Dynamics, Elsevier for the Society for Economic Dynamics, vol. 13(1), pages 1-14, January.

良いサイトを見つけた。
http://unrepresentativeagent.blogspot.com/2009/12/cross-sectional-facts-for-macro.html

賃金格差
メキシコ・ロシア>アメリカ・カナダ>英国>欧州

労働所得(賃金×労働時間)の格差>賃金格差
政府による所得再配分は全ての国で所得格差を縮小させる働きを持っているが、縮小の程度は国によって異なる。

可処分所得の格差>消費の格差
可処分所得格差と消費格差の差は、所得が高いグループほど小さい。

etc....

2010/01/09

Takarada (2003)

http://www9.plala.or.jp/yudai618/research/021/BJSM37416.pdf

Evaluation of muscle damage after a rugby match
with special reference to tackle plays
Y Takarada
Br. J. Sports Med. 2003;37;416-419
doi:10.1136/bjsm.37.5.416

試合によって大きく筋肉損傷を起こし、さらにそれはタックル数に大きく依存している。

2010/01/07

なぜ私たちはいつも締め切りに追われるのか

http://ymatsuo.com/papers/neru.pdf

完全にウソ論文だった。騙された・・・。

2010/01/03

Kiva Japan

いまやっている被験バイトの謝礼金入ったら、やってみる。

http://kivajapan.jp/

2005年10月、マット・フラネリー、ジェシカ・フラネリー夫妻により設立されたマイクロファイナンス機関です。
自分の仕事のために資金を必要としている、主に発展途上国の小規模事業者に、個人が貸し付けを行うための仕組みを提供しています。
一回きりで相手の顔も見えない「寄付」ではなく、顔の見える「投資」により持続的に小規模事業者たちを支え、自分の出した資金がどのように使われ、返済されるかが見えるところが最大の特徴です。
貸し付けは、インターネットから誰でも気軽に行えます。
他の特徴としては、
25$からの少額融資
高い返済率(2009年1月の段階で、約97%)
貸し手への返済金に利子はつかない
等があります。