2009/08/05

Kiyotaki and Moore (1997)

経済論戦は甦るより。

Kiyotaki, Nobuhiro and John Moore. 1997. Credit Cycles. The Journal of Political Economy, Vol. 105, No. 2 (Apr., 1997), pp. 211-248.

投資家と企業家の間にあるホールドアップ問題に着目する。企業家は土地から生産価値を生み出す。生産規模の拡大のためには土地を購入する資金が必要なので、純資産以外に投資家から借りることになる。資金が一旦貸し出されると、企業家によるホールドアップが予想されるので、投資家は企業家の土地を担保とする。ゆえに、土地の担保価値に等しい分だけ、企業家は投資家から借り入れることができる。
何らかのショックによって企業化の所有する土地の担保価値が低下したとき、投資家が貸出しを減らすことになるので、企業家が土地の購入を控えることになる。土地の需要が減ると土地の値段が低下することになるので、土地の買い控えと担保価値の減少の相乗効果によって加速度的に地価が低下することになる。
こうしたデフレスパイラルに対しては、投資家から企業家への富の移転が求められる。企業家の資産の担保価値が増加すれば好循環が生まれ、実質国民所得も増加する。(ただし、デフレスパイラル自体はforward-lookingに織り込まれてしまう。現実にはダラダラと下がるらしい。)

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