2009/08/05

Bernanke and Gertler (1990)

経済論戦は甦るより。

Bernanke, Ben and Mark Gertler. 1990. Financial Fragility and Economic Performance. QJE.

企業家と投資家の間に情報の非対称性が存在する。企業家の責任が限定されているために、risk-lovingに事業を行なう。この傾向は事業に出資する純資産が少ない企業家ほど顕著である。したがって、純資産が少ないほど、貸出の利子率にリスク・プレミアムが上乗せされる。リスクプレミアムが上乗せされるために、ある純資産を下回ると投資を見送らざるをえなくなる。多くの企業家がこの純資産を下回るとき、経済が急激に収縮することになる。
政策インプリケーションとしては、(投資家と企業家の間に立つ)銀行が企業家の能力をモニタリングする必要があるということが提言されている。つまり、企業家のrisk-lovingな事業を回避するためには、計画の見送りに対して報酬を与える必要がある。この投資家から企業家への富の移転によって経済が正常化するわけだが、これとしては過剰債務を抱える企業家に対する投資家の債権放棄が挙げられる。銀行が投資家と企業家の間に立っているとき、銀行に対する公的資金の注入が投資に対してプラスの効果をもたらす。銀行が競争的行動をとるとき、銀行セクターに対する支援は企業家への支援となる。

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