2009/08/18

Blanchard and Perotti (2002), Mountford and Uhlig (2005)

Mountford, Andrew and Harald Uhlig (2005) "What are the Effects of Fiscal Policy Shocks?," SFB 649 Discussion Paper 2005-039.
Blanchard, Olivier J. and Roberto Perotti (2002) "An Empirical Characterization of the Dynamic Effects of Changes in Government Spending and Taxes on Output," Quarterly Journal of Economics, Vol. 117, Issue 4 (Nov., 2002), pp. 1329-1368.

Mountford and Uhlig (2005)は、構造VARの枠組みで政策ショックを適当に識別し、 1955年から2000年におけるアメリカの四半期データを分析した。重要なインプリケーションは以下の4つである。第1に、予期されない減税が最も高い乗数効果で経済を刺激する点である。ただし、減税分の財源は国債で補われる。第2に、政府支出乗数が低い点である。 従来型のIS-LMモデルでは、増税を伴わない国債を財源とした財政出動が、減税よりも乗数が高い。ところが、この実証分析では減税のほうが効果的であったのである。第3に、財政支出は利子率を上げることなく、投資をクラウディングアウトする点である。従来型のIS-LMモデルでは、政府支出は利子率の上昇を通じて民間投資を阻害していた。第4に、財政政策の結果を分析する際には景気変動ショックの制御が課題となる点である。

 MU論文において、政府支出と政府収入の定義はBlanchard and Perotti (2002)に依拠していた。 MU論文は景気変動ショックによって、景気による財政政策の影響を考慮している。 MU論文とBP論文を比較すると、共通点として増税でも財政出動でも投資が減少する現象が観測されている。 また、財政出動の影響として、 BP論文では民間消費が増加するが、 MU論文でも民間消費に大きな影響を与えない。民間消費が減少しないことは RBCモデルと合致しないし、民間消費が増加しないことは従来型のIS-LMモデルと合致しない。そして、減税の効果が、財政出動の効果よりも大きかった。

 MU論文とBP論文における乗数効果をまとめる。財政支出乗数は、MU論文もBP論文も小さい。減税乗数は、 MU論文で大きな効果を発揮する一方で、BP論文はやや弱い影響であった。

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