Romer, Christina D. and David H. Romer (2007) "The Macroeconomic Effects of Tax Changes: Estimates Based on a New Measure of Fiscal Shocks," NBER Working Paper No. W13264.
Romer and Romer (2007)によれば、政策ショックを外生的に識別することで、減税乗数が大きいという結論を導いている。 RR論文の発見は6つ挙げられる。第1に、減税乗数の大きさである。減税乗数は約3であり、きわめて大きい乗数効果を生じる。第2に、政策ショックの識別である。既存の研究では税収から景気循環による影響を考慮して識別していたが、RR論文では公式文書を基に識別している。その結果、既存の研究よりも高い乗数が算出された。第3に、投資が増税によって減りやすいことである。減税乗数の大きさも、 投資への影響力で説明可能である。第4に、減税の効果が持続性を持つことである。すなわち、物価上昇率や失業率を見る限り、減税によって生産水準が持続的に引き上げられ、物価水準に大きな影響を及ぼすことはない。第5に、政治家による増減税は景気安定化に失敗している。景気安定化のためには、 好況時には財政黒字、不況時には財政赤字が教科書的である。しかし、景気回復の最中に増税をするような政治家は稀有である。第6に、恒常的(inherited)な財政赤字を解消するための増税は他の理由による増税よりも生産水準の引き下げる影響は小さい。財政再建路線が長期利子率を低く抑えるからであると言える。
0 件のコメント:
コメントを投稿