Billari, Francesco C. and Vincenzo Galasso (2008) "What Explains Fertility? Evidence from Italian Pension Reforms," CEPR Discussion Paper No. DP7014.
投資財としての子供は引退後に養老の担保となるものであり、消費財としての子供は育児や子供それ自体から快楽を得るものである。子供をこのように扱うことによって、出生率の決定要因は投資財や消費財の観点から考えることができる。これらの理論をそれぞれモデル化した上で、1990年代イタリアにおけるAmato改革とDini改革で年金支出を抑制した影響がどうであったか分析した。 モデル化の結果によれば、年金抑制によって出生率が下がったならば、その結果は子供を消費財として扱う理論と整合的であり、逆に、子供を投資財として扱う理論が整合的になるためには、改革で年金が抑制された層が出生率を増やしていなければならない。一方、実際のデータからは年金改革によって年金収入が減らされた層は出生率が高くなった。これは統計学的に十分であり、出生率の決定要因としては投資財としての子供の色彩が強くなると結論できるのである。
従来の経済モデルにおいて、 投資財としての子供の役割が過小評価され、子供は親にとって負担であるという見方が過大評価されている。老年期における子供から親への所得移転(同居や仕送りなど)が過小評価されているである。 人口の要素と経済の要素を関係づける従来の経済理論は、子供を消費財として扱ったりするなど、 間違っているかもしれない。
また、年金制度の持続性を確保するために年金給付を削減する年金改革をすれば、出生率を高めることができる。
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