国際金融ネットワークからみた世界的な金融危機
ネットワーク分析という研究手法があるらしい。金融取引関係を見える化すると、金融取引のハブ機能が浮かび上がってくる。
まず、縦軸をクラスター係数、横軸をリンク次数としてプロットする。クラスター次数は地域内での取引密度を表わし、リンク次数は地域間での取引密度を表わしているとしてよい。これによれば、国際金融は大国の金融機関が水平的でそれ以外は垂直的という屈折したグラフが出てくる。国際貿易は直線であることと比べると、国際金融は大国の金融機関がハブとなっていて、各地域の橋渡しをしているのだと考察することができる。
一方、縦軸を媒介性、横軸を近接性としてプロットする。近接性はある機関から別の機関までに取引仲介される数を示し、媒介性はその地域の機関が取引仲介する数を表わしているとしてよい。これによれば、大国金融機関のハブ機能のおかげで、取引仲介数が低く抑えられていると考察することができる。
こうしたハブ機能はある程度までのショックには強く、別のハブを回していけば機能する。しかし、ハブが大幅に傷んだとき、国際金融取引がまったく機能しなくなる。1998年から2008年の国際金融取引の高まりから、英国とユーロ圏の相互取引が急膨張した。債権債務の膨らみがこうしたリスクを大きくしたものとみられる。
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