ハゲタカ DVD-BOX
主人公の鷲津政彦は、三葉銀行大手町支店の法人部門で働き、自動車メーカーの下請けの下請けの下請けの工場、三島製作所という小さなネジ工場の世話をしていた。工場の片隅に転がっている加工賃1本7円50銭にすぎないネジ2本を拾い集めると、世話になっている礼としてビールとせんべいを頂戴し、「ちりも積もればビールになった!せんべいにもなった!」と談笑する関係だった。ところが、1993年バブル崩壊によって銀行から貸し渋りを命じられ、経営者の三島健一を自殺に追い込んでしまう。雨の日の葬式で娘の三島由香になじられ、将来の頭取候補で支店長の芝野健夫から「しょうがないだろ。日本は資本主義なんだから。」と励まされる。この事件をきっかけに渡米し、芝野の言う資本の論理を徹底的に学ぶ。
1998年、三葉は不良債権処理を急いでいた。芝野は貸出先の西乃屋という老舗旅館の経営者である宇崎竜童にゴルフ場の売却することを勧めるが、経営者としての才覚がない宇崎竜童は事業拡大を夢見て手放そうとしない。三葉は西乃屋を含む債権をまとめてバルクセールとして売り出した。鷲津は「腐った日本を買い叩く」ために、米ファンド・ホライズンの日本代表として来日したのであった。文字通り、殆どの不良債権が1円で買い叩かれていた。
西乃屋の債権者となった鷲津は宇崎竜童に対し旅館本体を2億円で買うように言いつけるが、期限の2週間には間に合わなかったため転売する。夢を失った宇崎竜童は道路にふらふらと歩いて命を失う。宇崎竜童の長男である松田龍平は家を飛び出し、300万円(*1)をバイトで稼いで起業することを決意する。「金は使うもんですよ。金に使われたら人間おしまいでしょ。」
2000年、玩具メーカーのサンデートイズは創業者一族が会社を私物化しており、経営不振に陥っていた。社長の大河内瑞恵は広告塔になっていたのも事実であった。株式は創業者が過半数を握っていることから、鷲津は最大債権者になることを目指す。鷲津は地銀などから騙すようにして買い集めた鷲津は、さらに社長の息子で取締役の大河内伸彰に対してゴールデンパラシュートを提案する。くわえて伸彰に対しては社長の座まで用意する。メインバンクである三葉側の芝野はその提案を出し抜いて取締役会にて大河内瑞恵を代表取締役の座から降ろすことに成功する。
社長になった大河内伸彰は民事再生法を申請し、そのスポンサーをサドンデス方式の入札で決めることとなる。三葉もホライズンも採算を考慮して奇遇にも同じ190億円と評価するが、鷲津は前社長の大河内瑞恵に接近し、新経営陣と三葉との不適切な金銭関係についてリークされていた。東洋テレビの記者になっていた三島由香にこの証拠を渡したが、報道するためには裏をとる必要があり、三島は芝野に確認をとっていた。芝野は銀行を守る立場にあり、これを否定していたが、無能な大河内伸彰を社長にすることに戸惑いを感じ、ホライズンの提示した入札額が190億円になったときに三島に電話をして事実を明らかにした。鷲津が経営権を握ることになるが、大河内瑞恵を社長にはせず、自己破産(*2)が避けられないようにした。
一方、芝野は三葉を去る。中尾彬は芝野に「かっこええなあ。お前はいつもかっこええ。だからダメなんだ。」と言い放つ。
2004年、芝野は会社再生の専門家として大空電機の経営陣となっていた。ホライズン本社は軍需産業がレンズ事業部の技術を欲しがっているという政治的理由で鷲津に大空電機の買収を命じる。鷲津は株主総会におけるプロキシーファイトという方法で経営の主導権を握ろうとするが、芝野によってカリスマ社長である大木昇三郎の感動的な手紙が読み上げられ現経営陣が勝利する。TBOに戦略を変更するが、ハイパークリエーションというIT企業の社長となった松田龍平がMGS銀行(*3)の資金を利用しつつホワイトナイトとして登場し、TBO合戦が始まる。
松田龍平は大木に対する尊敬を理由にしていたが、嘘であることは明らかだった。そしてインサイダー取引で捕まり、財界からパージされる。一方、鷲津はホライズン本社の意に反して大空電機を守ろうと画策し、解雇される。鷲津はホライズン本社の狙いが熟練した技術であることを逆手にとり、芝野と協力してEBOの準備を進める。鷲津は中尾彬にロビイング活動を頼み、経産省から技術流出に対する懸念を出させた。ホライズンは大空電機から手を引き、新会社の社長として芝野が就任する。
鷲津は日本的経営の象徴を守り、三島製作所を守った。三島健一の葬式で手を合わせられなかった鷲津はようやく仏壇に手を合わせられるのであった。
(*1)当時、有限会社設立に300万円必要だったということ
(*2)当時、破産者は代表取締役の欠格事項に該当していた
(*3)三葉銀行と住倉銀行の合併を考えれば、モデルは予想できる。MGSの略称は何かもう一行ある気がするが。
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