Lucas Jr., Robert E. 1988. On the Mechanics of Economic Development. Journal of Monetary Economics 22, 3-42.
Introduction
成長論の課題としてはBaumol (1986)の三角形に見られるような、所得水準のバラツキと成長率のバラツキをいかに説明するかということであった。原始的なSolowモデルで均衡成長率と均衡所得のバラツキを説明するためにはパラメータを外生的に与えなければならない。とくにネックになるのは経済成長率と資本成長率の差で、これにはTFP成長率を導入する必要がある。そもそも技術は国が持っているわけじゃなくて、人が持っているわけで、TFPを直接計測するのは難しい。均衡成長に至っていないからバラツキがあるのだという意見もあるが、有力ではない。
Endogenous Growth Model #1 (School Education)
効用関数
を物的資本の蓄積
と人的資本の蓄積
の制約をかけて最大化する。(ハミルトニアンを使う。)
ただしは人的資本の外部効果であり、このためにequilibrium pathがoptimal pathと異なる解となる。外部効果があることによって、資本成長率と経済成長率の差を説明できるが、外部効果の測定については後述。
長期均衡としてbalanced growth pathをハミルトニアンの解に入れると、成長率一定の物的資本と成長率一定の人的資本に収束するらしい。しかし、その物的資本と人的資本の比は初期条件に由来することになり、均衡所得水準のバラツキを説明することができた。しかし、経済成長率のバラツキを説明することはできていない。
Endogenous Growth Model #2 (Learning-by-doing)
今度は経験効果を含んだ二部門モデルを考える。
効用関数
生産関数
Leaning by Doing
これを解くと、のとき複数均衡となる。どちらかの財を集中的に生産するので、成長率がその財の学習に依存した値をとるということになる。
価格統制や開放経済などの政策インプリケーションも導くことができるが、あくまで内生的経済成長論の例示であって、政策提言を行なう論文ではないと書かれている。外部性を導入しないで、初期状態だけで説明するモデルなんて見たことないよ、頑張ったでしょと。(Section 5の最後)
Cities and Growth
人的資本という外生パラメータはどうやって測るのかという問題だと思われる。ミクロ的基礎付けは大事だが、データへの含意はもっと重要である、と。たとえば、経済成長における街の役割を着目しよう。外部効果がないと人は集まらないだろう。地代が高くても人が集まってくるんだとすれば、地代が人的資本の外部性の代理変数になるかもとかなんとか。
0 件のコメント:
コメントを投稿