2009/06/16

中里(2002)

中里透(2002) 「財政政策の非ケインズ効果をめぐる論点整理」(井堀利宏、加藤竜太、中野英夫、中里透、 土居丈朗、 近藤広紀、 佐藤正一 「財政赤字と経済活動:中長期的視点からの分析」第2章)『経済分析』第163号、2002年3月、71-90ページ。

非ケインズ効果が生じる基本的な理由は次のようになる。政府主体の最適行動は課税平準化によって異時点間の資源配分の歪みを最小化することである。それにも関わらず、現状の税率は過剰に低く抑えられており、税負担が先送りされている、という場合を考える。このとき、 現時点における増税は課税の歪みを改善し、 恒常所得を向上させる。消費者がforward lookingで合理的な最適行動をとるとき、増税によって消費活動をむしろ活性化させることができる。これが非ケインズ効果である。

非ケインズ効果が生じやすい状況は次のようにされている。 まず、家計の流動性制約が小さいような状況である。流動性制約があるとき消費平準化ができず、forward lookingな行動をしないからである。 次に、最適税率が高く、 現状の税率が低いような状況である。すなわち、税負担を先送りしているとき、資源配分の歪みが生じる。また、政府支出の国内総生産比が小さいという状況も挙げられている。これは政府支出の拡大余地が大きいために財政改革が行なわれにくいという意味である。そして、政府債務残高の国内総生産比が大きい状況である。以上の状況で非ケインズ効果が生じやすいとされている。

実証研究が信じられるのかどうかはよくわからん。

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