近能善範(2002)「自動車部品取引のネットワーク構造とサプライヤーのパフォーマンス」『組織科学』
競争優位の源泉に関して、競争環境に着目する外向きな見解と企業の保有資源・能力に着目する内向きな見解が主流になっている。構造的埋め込み理論はその中間であり、「競争優位をもたらす保有資源・能力の構築に対して、企業が埋め込まれているネットワークが果たす役割が大きい」と考えられている。
この論文では構造的埋め込み理論の立場にたって、自動車部品取引におけるネットワーク構造を分析する。もともと、個々の取引関係に関する実証研究は存在してたが、ネットワーク構造の差異が競争力にどのような関係をもたらすのかという研究はされてこなかった。
実証分析の結果、「主要顧客である自動車メーカーから見て重要度が高い存在となり、なおかつ複数顧客との取引関係を維持するサプライヤーは、部品の取引継続に有利な傾向が見られる」ということが明らかになった。要するに、取引先を増やすのみならず、取引先からの信頼や依存を勝ち得ることが重要ということになる。
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