Eclectic Paradigm
折衷理論とは海外直接投資に関する様々な既存研究を総括する理論らしい。その理論枠組みはOLIアプローチといって、第一に所有による優位、第二に内部化による優位、第三に立地による優位という順番で条件を見たときに全ての条件を満たすならば海外直接投資を行なうというものらしい。
O: Ownership
他にはない特殊資産を持つことを資産優位性、他にはない特殊取引関係を持つことを取引優位性と呼ぶらしい。
I: Intarnalization
Coaseの枠組みのように、市場の失敗を避けて組織で調達することが考えられる。そのためには組織を内部化することの優位性が高くなければならないが、これを内部化優位性と呼ぶらしい。
L: Location
おそらくこの段階では組織の内部化を行なうことは決定済みであり、あとは内部化の舞台となる立地を考えなければならない。こうした優位性は国とか地理とかに特殊的なものであり、海外直接投資の鍵になるようだ。
Restatement
以上のOLIアプローチはなかなかの批判を受けたらしく、Dunningは要素賦存量と市場の失敗の文脈で説明をしなおす。ここが論文の中心だと信じたい。その後ろのSome possible extentionsはまったく重要でない。
国際生産のタイプ | 立地優位性に関わる要素賦存量 | 立地優位性と資産優位性に関わる構造的な市場の失敗 | 取引優位性と立地優位性と内部化優位性に関わる取引的な市場の失敗 |
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市場開拓 | 国内において資産優位性を作りだされている。特殊資産が特定の国以外から調達できないとき、その国は立地優位性がある。 市場規模や市場特性も関係する。 | 生産要素を手に入れることに企業特殊性があるとか、貿易規制があると、売手寡占となる。 | 探したり交渉したりするコストが小さいとか。 所有権に関わる法制度がしっかりしているとか。 リスク分散型国際ポートフォリオの一部にできるとか。 競合の行動から守ってくれるとか。 |
資源確保 | 国内においては同上。市場規模と市場特性も考えられる。 生産要素や生産技術の利用可能性が投資先として考慮する材料となる。 | 同上のケースで、さらに市場参加すら難しい場合、政府によるFDI要請がインセンティブとなる。このとき売手寡占が可能。 | 供給を安定化するためと、将来的に市場調達が不可能になることを見込んで、組織の経済学の立場から垂直的統合を説明。 |
効率性追求 | 垂直的FDIについては上の2つと同様。 水平的FDIについては要素賦存量の分布とHecksher-Ohlin-Samuelsonの定理で説明。 | 政府の減税政策、投資促進政策、貿易規制とか。 | 規模の経済と範囲の経済。 多角化によるリスク分散。 |
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