2009/06/20

Diamond and Rajan (2001)

Diamond, Douglas W. and Raghuram G. Rajan (2001) "Liquidity risk, liquidity creation and financial fragility:A theory of banking," JPE.

背景
借り手にとっても貸し手にとっても流動性が重要である。借り手は資金集めがいつもうまく行くとは限らないという不確実性に直面している。貸し手は急に資金が必要になったときに貸した金を回収しなければならないという不確実性に直面している。商業銀行はこうした借り手と貸し手の間に立って金融仲介業務をしているのだ。

モデル設定
Diamond and Dybvig (1983)のように確率的にimpatient lenderとpatient lenderが発生する。impatient lenderはliquidateやsellによって現金を調達する。

さらにrelationship lenderは借り手の情報をよく知っている。資産を差し押さえて現金化する際には他の貸し手よりも資産の用途を知っているので高く処分できる。

後はかなりゴリゴリ。
Lecture Note 1, Note 2

含意
銀行の借方では資金不足の借り手に資金供給している。その一方で資金供給するための資金を預金者から集めている。銀行はfragile capital structure (subject to runs)をもつrelationship lenderなのだ。銀行はfragile capital structureを管理する能力を持っており、その能力から手数料(rent)を得ている。このrentはbank-runが生じると無に帰してしまう。

貸し手と借り手の双方に流動性を供給しているのは金融機関のなかで銀行だけである。MMFでは預金者に対するliquidityを保っている反面、運用は流動性のある資産で行なうのであって、illiquid assetsは避ける。生命保険では契約者に支払うタイミングが観察可能であるから云々。IBは将来のキャッシュフローに興味があって、VCはベンチャーのon-goingに興味がある。

預金資金は安全資産に投じて貸出資金は市場から調達するというナローバンク論は、銀行の流動性供給という役割を殺すことになる。全額保護の預金保険もまた銀行の流動性供給を殺す。部分保護の預金保険はうまくいかないこともない。引出規制は預金者が困ってしまう。

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