Diamond, Douglas W. and Philip H. Dybvig (1983) "Bank Runs, Deposit Insurance, and Liquidity," JPE, pp. 401-419.
T=0,1,2の三期間を考える。T=0からT=1までは資産の貯蔵技術がなく、T=1からT=2までは資産が貯蔵できる。そのため、個人は次のような性質の特殊証券を購入する。
T=0にて価格1である。
T=1にて価格1である。
T=2にて価格R(>1)である。
各個人はT=0のとき資産1を有しており、全資産を特殊証券に投じる。T=1にて各個人はType1とType2に区別され、特殊証券を資産に戻すか、特殊証券として保有し続けるか選択できる。Type1はT=1における消費に関心があり、Type2はT=2における消費に関心がある。Type-tがT期において償還する特殊証券の総額をと表わそう。貯蔵技術の仮定からType2のT=2における消費量はとなるので、リスク回避的な効用関数と割引率を考慮して次のように書ける。
ナッシュ均衡は
ところで、いまType1とType2の比をt:1-tであるとしよう。このとき、最適解は
要するに、このままでは最適解が達成されない。
ここで銀行の登場である。T=1で取り出すとき1より大きくし、T=2で取り出すときRより小さくするのである。ところがT=1のとき銀行の資産は1なので、想定以上に償還請求が行なわれると「銀行取付」となる。銀行取付が考えられるとき(その行為こそが銀行取付を引き起こすとしても)預金引き出しが最適反応となる。そこで、償還に上限を設けることでType1だけが償還するようにすれば最適解が得られる。
ここまでの話は t が一定値の場合である。
さて t が確率変数で、銀行はその t の値を知りえないという情報の非対称性を仮定する。このとき最適解もまた t に依存するので、銀行の機能で最適解を導くことは難しい。そこで政府が事後的に情報を得て、公的資本注入と税で個人資産を調整することを考える。うまく税率を設定すれば、たしかに最適解を達成できる。
コーディネーションの失敗
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/46da2ef9e2ab23b0272017150acfd5d1
[経済]Diamond-Dybvigの銀行取付モデルをめぐるメモ
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20081009
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