ジャン・ティロール(2007)「国際金融危機の経済学」北村行伸、谷本和代訳、東洋経済新報社。
アジア通貨危機とIMFの荒治療に関するコンセンサス
-弱い通貨国が対外債務を抱えすぎない。
-短期借りより長期投資の呼び込みが望ましい。
-投資上の制度に国際基準を適用して投資家の急激な逃避を防ぐ。
-国際基準における裁量余地が高リスクを生んでいる。
-国家の金融状態の透明化が望ましい。
-金融危機が発生したとき投資判断を誤った投資家もこれを負担すべきである。
-固定為替相場制は危機に脆弱である。
Dual-Agency Problem
-投資家の収益を確約するのは、国と企業の両方である。
-国が国内投資家の保護に走るとき、外国投資家と企業の契約に外部性が存在する。
-外国投資家は国と契約を結べない。
Common-Agency Problem
-借り手が複数の投資家から借り入れているとき、ひとつひとつの契約が他の契約の外部性となる。
→Tirole (2003),AER
まとめ
IMFが何をやるかはっきりしていないし、いままでを見ても成功を事前に導くというよりは失敗の事後的処理をしている。失敗について具体的に分析すべきである。金融危機の原因としては、政府が外国投資家に影響を与えるにも関わらず、その間に契約がなかったからであろう。したがって、外国投資家の代表としてIMFが債務国を監視すべきである。IMFはLLR機能よりも、危機管理機能が重視されるべきである。IMFは危機に対応できるほどのポケットマネーを持っていない。また、アジア危機のときの政策は、外国投資家の信頼という観点では、間違っている可能性が高い。
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