2009/04/09

青木・山形(2009)

青木昌彦、山形浩生(2009)「青木先生、比較制度分析ってなんですか?」『経済セミナー』4・5月号、日本評論社。

「制度」をどうやって変えるか?
2007年ノーベル経済学賞受賞者のレオニド・ハーヴィッツは「制度を変えるためにはintervenerという存在が必要だ。」「intervenerは、単にデザインするだけでなく、そのデザインを実際に実現しうるアセットを持っている人だ。」と言う。また、同じくノーベル経済学賞受賞者のロバート・オーマンは「ナッシュ均衡が成立するには、人々が他の人々の行動のパターンに関してある程度共通の予想を事前に持っていることが、十分条件であるとともにほぼ必要条件にも近い。」と証明している。

比較制度分析の扱う領域
ローレンス・レッシグのように、社会科学上のドメインごとにゲーム構造を考える。ドメイン同士は相互作用があるが、ゲーム理論を使うとうまくいくはず。

制度を共通知識と考えれば、人間行動に規則性が生まれる。共通知識が生まれる理由は認知科学の世界で実験されている。認知という点では、機械に対する人間の優位性として、人的な認知資産が重要になってきている。日本型の企業システムでは会社の中で様々な形の情報共有がなされていて、社外との情報共有は少なかったと思われる。会社間の情報共有という意味で、通産省が役割を担ったとするのが一般的見解であるが、実は大学だったのではないか。大学の先生は卒業生を企業に輩出し、卒業生は大学を訪ねてくる。そこで情報共有が行なわれていたのではないか。

比較制度分析のこれから
社会主義国の市場経済化や金融のグローバル化を経て、金融危機を迎えた現在では普遍性と多様性の両立が課題となってきている。2011年に北京で行なわれるIEAの世界大会では市場経済の多様性がテーマとなるのではないか。

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