2009/04/16

Posen (1998)

Posen, Adam (1998) "Restoring Japan's Economic Growth."

Posenは、公共事業が一般に評価されるほどには積極的だったわけではないと論ずる。1992年から1997年までに投じられた中央政府による公共投資は23兆円に過ぎず、景気回復を意図した財政政策としてはむしろ不足していると評価している。それは、一般に中央政府が発表する経済対策パッケージは誇大に宣伝されているが、そのすべてが実際にGDPを直接引き上げる効果を持つわけではないからである。これは事業規模と真水の定義の違いからくるものである。真水とは、公共事業費のうち土地代等、国内総生産に反映されない支出を除いた額のことである。たとえば2008年の追加経済対策(1次補正)では事業規模にして約26兆9000億円であるものの、大半を構成する中小企業支援は融資・保証枠の拡大であり、経済対策の真水は5兆円程度1とされる。その上で、1995年における財政政策は比較的大規模で、経済成長に貢献したと主張する。1990年代の長期停滞は財政政策、金融改革および金融政策が阻害要因であったというのが、Posenの立場である。

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