2009/03/01

高橋(2004)

高橋伸夫(2004)『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』日経BP社。

Abbeglen (1958)による日本の経営
(a)採用時の選考
終身雇用では採用で失敗できないので、注意深く選考が行なわれる。
(b)給与制度と動機づけ
制度として能率給的だが、実際には勤続年数と入社時の教育程度によって基本給が決まる。
賞与は定期的な賃金制度として運用され、基本給を変えることなしに労働者の要求に応えられる。
(c)階層・キャリア・組織
曖昧な責任、昇進に関係する学閥、OJTによる社内教育が家父長的関係を示している。
(d)外的ショックへのバッファ
臨時工員を採用したり、下請け会社を親会社の工場内で働かせたりする。

Drucker, Peter F. (1971)"What We Can Learn from Japanese Management," Harvard Business Review, March-Aprik, pp. 110-122.
(a)稟議制度は、意思決定まで時間がかかる反面、実行が速い。
(b)終身雇用と年功制度は、従業員の心理的保障と渉外訓練による生産性向上に繋がる。
(c)学閥は、優れた意思疎通によって教育と人事考課が機能するのに効果的である。

W.G.オオウチ(1981)『セオリーZ
タイプJ:終身雇用、遅い人事考課と昇進、非専門的なキャリア・パス、非明示的な管理機構、集団による意思決定、集団責任、人に対する全面的な関わり
タイプA:短期雇用、早い人事考課と昇進、専門的なキャリア・パス、明示的な管理機構、個人責任、人に対する部分的な関わり
タイプZ:IBM, HP, Intelなどの日本的なアメリカ企業の存在

Taylorの科学的管理法
自然的怠業:本能として楽をしたがる
組織的怠業:みんなでサボれば怖くない→科学的管理法

McGregor (1960)のY理論
(a)仕事から満足感を得ることもある。
(b)外的統制がなくとも、自ら統制して、組織目的に向けて努力することもある。
(c)目的の達成が自分の欲求を満足することであるならば、組織目的に向けて努力する。
(d)自ら責任をとることも学習する。
(e)組織的問題の解決は、多くの人にとって可能である。
(f)現代企業のもとでは、知的潜在能力の一部しか発揮されていない。

Vroom, Victor H. (1964) Work and Motivation.
職務に対する不満足が離職や欠勤という行動と結びつくようだが、職務満足と生産性の間には関係が見られない。しかし、生産性向上は達成動機づけによって説明できる可能性がある。

Herzberg,Frederick, Bernard Mausner and Barbara B. Snyderman (1959) The Motivation to Work.
職務満足は職務そのものと関係しているが、職務不満足は環境や条件と関わっている。

Deci, Edward L. (1975) Intrinsic Motivation.
(a)自己決定の感覚が高いほど、職務満足感は高くなる。
(b)活動に従事させるための報酬では自己決定の感覚が弱まり、自己決定的で有能であることを伝えるための報酬では自己決定と有能さの感覚が強まる。
(c)人はチャレンジを求め、乗り越えようとする。

高橋・清水(2000)「『合併後の組織統合』をゲーム理論で解く―経営組織の中の『囚人のジレンマ状況』」中山幹夫他編『ゲーム理論で解く』有斐閣、1-12ページ。
NTTの民営化は新規企業の参入により、労使の対立関係を協調関係へと変えた。

結論
(a)仕事の意味とか長期的目標とかの明示。
(b)終身コミットメントにおけるゼロサムからの脱却。
(c)未来に重きを置いた割引率の設定。

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