鈴木健(2008)「ゲームプレイ・ワーキング―新しい労働観とパラレル・ワールドの誕生」東浩紀、北田暁大編『思想地図』vol. 2、日本放送出版協会。
「国富論」を参考にした「機械と製造業の経済」は「経済学原理」や「資本論」で何度も引用されている。人間労働を機械やコンピュータとしてとらえることは何の問題もない。実際に機械の人間化と人間の機械化が進む現在では両者は歩み寄ってきている。コンピュータで現実を再現できるようになってきた現在では、現実がゲーム化してきている。ゲーム化した労働をゲームプレイ・ワーキングと呼ぶ。ゲームプレイ・ワーキングにおいて、労働はどのようなゲームとしても解釈可能であり、「現実」の複数化を加速する。カール・シュミットは敵と味方を区別することを政治の本質とみなした。しかし、複数の現実の中で自我の領域は広がっている。他者は自分がゲームプレイするはずの主体だったかもしれないからだ。
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