2009/03/30

天野(2004)

天野倫文(2004)「東アジアの国際分業と企業成長への序説―立地と分業がもたらす経済効果の探求MMRC Discussion Paper No. 8.

要旨
 直接投資や貿易の展開を通じて東アジア地域に広大かつ稠密な産業ネットワークが形成されてきた背景を振り返るとともに、3つの観点から理論的な整理を行う。
 第一は東アジア地域における企業の立地優位性に関する検討である。立地優位性の獲得は企業の国際化を促す最も基本的な動機であるものの、経済成長や産業発展の状況が進むにつれてその源泉が変化してゆく。それに応じて企業も立地や現地化のあり方を変えてゆかねばならない。
 第二は国際分業がもたらす経済効果の検討である。企業は国際化を進めることによって、立地優位性を獲得するばかりでなく、国際的な機能分化を通して経済効果を享受する。日本企業の場合は、プラザ合意以後の日本国内の生産性低下から脱却を図るといった意味でも、東アジアとの国際分業と国内事業の高度化は悲願であったが、ここでは国際分業が具体的にどのような経済効果をもたらすのかを検討する。
 第三に、産業集積がもたらす外部効果について検討する。東アジアにおける産業集積は、企業が立地選択を行い、立地優位性を高める際の鍵となる。また国内における産業集積の動向を見ることによって、空洞化の状況と、空洞化を克服するための構造調整のプロセスについて、その論理的経路を明らかにすることができる。

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