Lucas Jr., Robert E. (1976) "Econometric Policy Evaluation: A Critique," Carnegie-Rochester Conference Series on Public Policy, 1976, vol. 1, issue 1, pp. 19-46.
状態変数ベクトルが、と外生変数ベクトルおよび独立同一分布に従うランダムなショックによってで表わせるとする。しかし、この関数 を直接知ることはできず、経験的に推測することしかできない。そこで理論的に組み立てられたモデル式における全てのパラメータを過去の変数から最小二乗値法や最尤法などで同定することによって、を導く。パラメータとなるベクトルが定数であり、外生変数となるベクトル が自由に操作可能ならば、の予測値をに入れることによって将来予測が可能である。これは従来のIS-LMモデルの姿であった。
しかし、関数とパラメータの組み合わせは経済の行為主体(agents)の意思決定ルールから導かれるものであり、理論的には、その意思決定は行為主体がおかれた状況の下で最適化するものである。過去のデータから推定されるものであり、モデルのパラメータが定数とはいえない。政策決定のルールが変われば、合理的な情報は変化し、その下での最適化行動自体が形を変えてしまうのである。
そこで、パラメータは、政策決定ルールのパラメータ(ベクトル)およびショックで変化すると考える。外生変数はのように決定され、パラメータで操作可能である。そして、状態変数は となり、パラメータの操作が外生変数を動かすとともに、パラメータも動かすのである。旧型のモデルではが定数であったが、新型のモデルでは政策ルールの変化に影響されるのである。
ここに最適化行動というミクロ的基礎付けを導入するのである。
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