2009/02/04

小幡(2008)

小幡績(2008)『すべての経済はバブルに通じる』光文社。

第一章 証券化の本質

証券化の前後で、実際経済での「資産の収益性、将来得られるキャッシュフロー」に関するリスクが、流動性リスクに変質した。いったん、このような変質が起こってしまえば、「自分より高く買ってくれるバカ」がいればいいのであって、原資産なんか、どうだってよくなる。格付け機関だけでも、原資産に基づいた格付けを行えていれば、まだ実体に基づいていた。

第二章 リスクテイクバブルとは何か

サブプライムローンのバブルは、「住宅価格が上昇し続けていたから」ということになる。なぜ住宅は上昇し続けたのかは、「サブプライムローンは、定義より、低所得者をマイホーム市場に参入させることになったが、それが、住宅需要を増やした」という事実が背後にある。サブプライムの借り手が破産するなりして、住宅需要が減るようなことになると、バブルを支える住宅価格の上昇がストップしてしまうので、彼らの破産を予防し支援するインセンティブもあった。

http://www.sugi-shun.com/mt/2009/01/post-32.html
第3章 リスクテイクバブルのメカニズム

プロの投資家が、ちまちま運用すれば、「もっと儲けよ、さもなくば解約するぞ」と顧客から言われてしまう状況、過度にリスクをとりに行くインセンティブがあったと推察できる。この問題の背後には、ファンドの顧客とマネージャーの間に、ファンドマネージャーの真の能力をめぐる情報の非対称性があった。

この情報の非対称性の結果、ファンドマネージャー達は、「リスクを適正評価出来ないリスク」にされされた。もちろん、マーケット全体で見れば、way too much risk takingな状態になる。合成の誤謬。

第4章 バブルの実態―上海発世界同時株安

マーケットでは、何が真実かよりも、「みんなが何が真実だと思っているか」ということが重要。

http://www.sugi-shun.com/mt/2009/01/post-37.html
(略)
第8章 キャンサーキャピタリズムの発現―二一世紀型バブルの恐怖
20世紀型のバブルは、発生メカニズムがなかったが、21世紀型は、発生メカニズムがある、と著者は主張する。リスクテイクバブルは、構造的な市場に組み込まれていたのだ、と。

http://www.sugi-shun.com/mt/2009/01/post-11.html

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