2009/02/08

Romer (2000)

Romer, David (2000) "Keynesian Macroeconomics without the LM Curve," Journal of Economic Perspectives, Vol. 14, No. 2, Spring 2000, pp. 149–169.
邦訳by別所俊一郎先生
http://www.econ.hit-u.ac.jp/~bessho/paper/00/wi_outLM.pdf

IS-LM-ASモデル
生産水準、価格水準、利子率という未知数に対して3本の方程式を立てて解く。
⇒問題点
1)利子率には名目と実質があるからIS-LMが書けない。
2)AD-ASは価格水準と生産水準の関係だから物価上昇を描けない。
3)中央銀行は貨幣供給量を政策ツールとしていない。

メモ:AD曲線はIS-LMから導出。ASはフィリップス曲線+オークン則みたいなもん。

IS-MP-IAモデル
Monetary PolicyとInflation Adjustmentで代替。
長所
1)中央銀行が利子率を政策ツールとしている。
2)利子率は実質で統一されている。
3)利子率で水平なのでLM曲線よりも単純である。
4)ADは物価上昇率と生産水準の関係として定義。
5)連立方程式を解かなくて済む。
6)モデルの動学化が直感的かつ合理的である。
7)M/P=L(i,Y)のMは金利調整手段としてのハイパワードマネーの操作として記述できる。
8)予想物価上昇率の内生的な変化を需要サイドの分析に統合可能。
9)開放経済でも閉鎖経済でも、固定相場制でも変動相場制でも適用可能。
10)固定相場制と金融政策の自由が両立しないことを簡単に説明できる。
11)変動相場制において外準を貯め込むことはできるが、外貨を切り崩すことはできない。

図示
まず、(output, real interest rate)の座標を書く。IS曲線は右下がりの曲線となる。
つぎに、MP曲線としてreal interest rateを所与にして水平の直線をかく。これが金融政策となる。
これらのグラフの下に(output, inflation rate)の座標を書く。
AD曲線は総需要であり、IS-MPの均衡を表わす。インフレ率が上がったとき金融政策における実質利子率が上がることになるので、outputが下がる。こうした関係からADは右下がりの曲線を描くことになる。
一方、IA曲線はinflationのadjustを表わし、水平の直線を描く。adjustが一瞬で達成されるならば、つねに潜在GDPの位置になるようにIA曲線が移動する。価格に硬直性があるならば、潜在GDPに至るまでIA曲線が上下にゆっくり動くというわけである。

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